ふんっ
全く面白くないね
しず姉さん
ご機嫌ななめで ありんすな
太夫
今朝は わっちがいない間に
地主様が
おいでに なったとか
やっと
会えるかと思ったのに
しず姉さん…
でも 地主様は すぐに
お帰りに なったと聞きやんした
今朝は 皆にと 色々と
届け物を
そして 近いうちに
百人一首を やろうと
言って お帰りになられたと
君がため
春の野に出でて 若菜摘む
我が衣手に 雪は降りつつ
知っておるかえ
雪の中 袖を濡らし
七草を集め 愛しい人の
無病息災を 願う健気な哥で
ありんすな
あい
そう言えば 今日は
七草粥の日でありんしたな
せりなずな ごぎょうはこべら
ほとけのざ すずなすずしろ
これぞ ななくさ
ね…姉さん…
ククク
ほら 二人とも
粥が 冷めてしまうよ
ほんに りょうには
困ったもので ありんすな
さて 春の七草には
意味がありんしてな
寒い季節に 温かい粥を食べ
病に 罹らぬよう
暖かい春を 待ったので
ありんしょう
あちきも 北の国の方々へ
一日でも
早く 暖かい春が訪れる事を
皆様と 共に 祈りやんして
今宵は これにて
オサラバへ
令和六年 睦月
まどか