宮崎のサッカークラブ「テゲバジャーロ宮崎」は、県民にとって誇りであり、夢を託す存在のはずです。
だからこそ、クラブの“顔”となるマスコットには、宮崎らしさや文化、そして地域の想いが反映されていてほしい。
私はその純粋な願いから、この問題について考えています。


九州のクラブに息づく「地域の象徴」

九州の他県のクラブを見てみると、それぞれのマスコットが土地の文化や自然と深く結びついています。

  • 長崎(V・ファーレン長崎):平和の象徴で長崎県鳥のオシドリとシカを組み合わせた温かいデザイン。

  • 鳥栖(サガン鳥栖):佐賀県に生息カチガラス。「勝ち運」に通じる縁起の良さ。

  • 福岡(アビスパ福岡):スペイン語で「蜂」を意味するクラブ名に沿った明快なコンセプト。

  • 北九州(ギラヴァンツ北九州):北九州の干潟に生息するズクロカモメを採用し、自然と産業の調和を表現。

  • 熊本(ロアッソ熊本):阿蘇の草原を駆ける馬を象徴に。

  • 大分(大分トリニータ):亀川・亀の井など、地域名および企業名にちなんだ「亀」がモチーフ。

  • 鹿児島(鹿児島ユナイテッドFC):薩摩犬をベースに、西郷隆盛の忠犬と名物「白熊」を掛け合わせたデザイン。

  • 沖縄(FC琉球):ジンベイザメ。ダイバーに愛され、沖縄の海を象徴する存在です。

どのキャラクターも「その地域だからこそ生まれた理由」があります。
だからこそ、サポーターも地域の子どもたちも誇りを持って応援できるのです。


宮崎の「ジャーロ」に感じる違和感


一方、テゲバジャーロ宮崎のマスコット「ジャーロくん」。

ピンク色の犬という設定ですが、なぜ犬なのか、なぜピンクなのか——説明が一切ありません。


クラブ名「テゲバジャーロ(Tegevajaro)」は、

宮崎弁の「てげ(すごい)」とスペイン語の「pájaro(鳥)」を組み合わせた言葉。

つまり「すごい鳥」「大空に羽ばたく存在」を意味する名前です。

その理念に照らせば、本来“鳥”を象徴するモチーフが自然なはずです。


加えて、宮崎といえば日本有数のブランド牛「宮崎牛」を全国に誇る畜産県でもあります。

「バジャーロ」の語感に近いスペイン語の「バカ(vaca=牛)」を重ねれば、

クラブの象徴には“力強く地を蹴る牛”というイメージもふさわしかったはずです。

サッカーのプレースタイルや県民の誇りを重ねる上でも、

牛や鳥といった地域に根ざしたモチーフが最も自然だったのではないでしょうか。


ところが、実際に採用されたのは、宮崎の文化とも無縁な「ピンクの犬」。

地域の象徴性を欠いたまま、説明もないデザインが公式マスコットとして登場したことに、

多くの県民が違和感を抱いているのが現実です。



マスコットは「地域の顔」である

マスコットは、単なる飾りではなく、地域の文化と誇りを象徴する存在です。
その姿が県民の理解を得られず、他県からも笑われるようなデザインであれば、
クラブのブランドだけでなく、宮崎全体のイメージにも影響します。

今、必要なのは「誰かを責めること」ではありません。
むしろ、宮崎の象徴をどう描くのかという根本的な問いを、
私たち県民一人ひとりが考え直すことだと思います。


宮崎らしさを、取り戻そう。

宮崎には、美しい太陽とフェニックスの並木、神話の伝承、そして日本一の宮崎牛や地鶏があります。
温かい人々の笑顔と、南国の海の青。
それこそが、世界に誇れる「宮崎の個性」です。

マスコットはその魂を映す鏡であるべきです。
今こそ、もう一度立ち止まり、「宮崎らしさ」を取り戻す時だと思います。


※この文章は、クラブや個人を攻撃するものではなく、
地域の未来を真剣に考える一県民としての提言です。
共感してくださる方がいれば、ぜひこの議論を広げてください。