ひものは懐かしさを通り越して
それ飲んだ時は古い友人に再会したような気がした
ずっと待っててくれたんだな
ありがとう
フルーツ牛乳
ウチは基本
プーが買い物に行ってくれるんだけど
あいつ結構気まぐれで
色んな物に手をだしたりして
主婦の法則からは大きく外れてるんだけど
意外性という点では
高く評価していた
そんなある日
冷蔵庫の中に
いつもとは違うクリーム色の飲み物が置いてあった
あれ?ヨーグルトかな
コップに注いで一口飲んでみたら
デスノートばりに記憶がよみがえり
こっ、これは
フルーツ牛乳
子供の頃、友達の家族と銭湯に行って
初めて飲んだフルーツ牛乳の美味しさは
お風呂上りとか関係なく
ゴクゴクいける絶妙な甘さ
もう無くなってるのに
いつまでも瓶をくわえてたから
育ちの悪さが
丸出し
ずっと未練が残った
ひものが小さい頃
米屋にあったプラッシーは
いつの間にか店頭から姿を消した
フルーツ牛乳も
銭湯限定という
厳しいハードルが存在してる
打開策は無いと諦めていたのに
あいつに買い物頼んで正解だったな
勿体ないから
ちょびちょび飲もう
冷蔵室ではなく野菜室に隠して
ひとり占めするつもりだったのに
プーの奴、わざわざ探すとか
余計なことしやがって
最後の一杯をコップに注いで飲む
一歩手前で
待ったぁぁぁ~~~~~っ
プーよ、フルーツ牛乳
美味しいよな
うん、まぁ美味しいよ
なんで?
黙れ
様々なジュースを堪能してきたおまえに
フルーツ牛乳を語る資格はない
おまえの舌はとっくに
汚れてるんだよ
労働者の喉を潤す
この味が分かる者だけに
飲むことが許される
有難い飲み物なんだよ
おまえなんかに渡すもんか
よこせ
この野郎ぉぉぉ~~~~~っ
コップを挟んで揉みあってたら
あっ、あぁぁぁ~~~~~~っ
大事なフルーツ牛乳が
ちょっぴり
こぼれた
これってひものが卑しいのかしらん?
プーの顔つきが
一瞬で変わった
すっごい軽蔑した目で
いいよ、それやるから
馬鹿じゃねえの
スーパー行きゃあいいじゃん
プーよ
わかってないな
ひものみたいな世代の人間って
懐かしい飲み物が
まず売ってない
この奇跡を手放すもんか
すると暫くしてプーが部屋から出てくると
あんたの言ってたプラッシー
検索したら
確かに一旦生産中止になってるけど
復活を望む人達の要望に応えて
とっくの昔に販売が再開されてる
今じゃコンビニとかスーパーとか
何処でも手に入るらしい
しかもバリエーションまでアップしてるし
えっ?そうなの
今更聞かされても
逆転の目は無いし
大団円も望めそうにない
それにしても便利な世の中だな
行方不明だったプラッシーを
秒で見つける世界
これ以上の進化を嫌い
過去に拘ってるの
『ひものだけかな!』もうついていけないよ!( ´艸`)まぁ、復活は嬉しいけどね