今よりももっと若かったころ、2月13日が来るのが怖かった時期がありました。
2月13日はわたしの家が火事になった日であり、また私の父親が亡くなった日でもあるからです。
(年は違うので、父は火事で亡くなったわけではありません。)
火事で家は全焼。
火事の原因は放火で、犯人は捕まっていません。
家の隣にあった倉庫に誰かが火をつけたようで、その火が家に燃え移り、二月で空気が乾燥していたからか火はあっという間に家を飲み込み、私たち家族はなにも持たず裸足でパニックになりながら火から一番遠くにある窓から逃げたのを覚えています。
当時私は10歳だったのですが、警察に5時間くらい事情聴取を受けたのを覚えています。
火事が起きた当日のことを覚えている限りこと細かく話しました。
自分のことだけでなく、火事の前後に家族がどこで何をしていたかなど、とにかく何回も同じような質問をされてぐったりした記憶があります。
わたしには弟が二人いるのですが、弟も数時間の事情聴取を受けました。
父、母、あと5つ上の兄はそれ以上長い時間事情聴取をされていたと思います。
このことが原因かはわかりませんが、私はいまだに家を出るとき何度も台所の火の元を確認してしまいます。
家に帰ってきたら家が燃えていたらどうしようと考えることがよくあります。
そして火事の5年後、私が15歳のときの2月13日に父が亡くなりました。
父が亡くなってからしばらくは頻繁に父がわたしの夢に出てきました。
いつも夢の中で悲しそうにうつむいている父。
話しかけようとすると鬼のような形相で叫び始めて、とても話なんてできる状態じゃありませんでした。
当時私は祖母の家に下宿しながら高校に通っていたので、祖母に父が夢に出てくると話すと、祖母は
『夢にお父さんが出てくるってことはお父さんはまだ成仏してないんだね。この世に未練があるんだね。』と言いました。
私はそれを聞いてとっても悲しかったのを覚えています。
お父さんは死んでもまだ苦しんでいるのかな、と思いました。
何年かして、あれだけ頻繁に見ていた父の夢を見なくなりました。
きっと父はやっと安心してくれたのかな、と思うようになりました。
昔から母とあまり仲良くない私は、父が亡くなってから何度も『父が生きていたらな』と思うことがありました。
でも、ある時からかきっぱりあきらめて、『父はいないんだから自分で何とかしなきゃ』という方向転換をしました。
今でもお父さんが生きていたらなあ、と思うけど。
でも、父が亡くなった時、お葬式をしてくれたお坊さんが
『お父さんが若くして亡くなったことを悲しまなくていい、これがお父さんの寿命だったんだから。』
みたいなことを言っていました。(かなり昔のことなのではっきりは覚えていないんですが。。)
その言葉のおかげで救われたことが何度もありました。
『もっと長く生きれたはずなのに。』と思うのではなくて、『お父さんはお父さんの寿命を全うしたんだ。』と思えるようになったからです。
そう思えるようになるまで長い時間がかかりましたが。
なにはともあれ、父の死から15年以上経った今、わたしは心穏やかに過ごせています。
父が私がアメリカで旦那さんと楽しく暮らしている姿を見て安心してくれていると良いなーと思います