私の最終学歴は『専門学校卒』です。

今アメリカでコミカレに通っているので、無事に卒業出来たらassociate's degreeが最終学歴になります。

 

高校生の時、卒業後の進路を決めなくてはなりませんでした。

私は兄の家庭内暴力や自分の家が貧しいことが本当に嫌で、早く高校を卒業したら働いて自由になりたいと思っていました。

 

進路相談の時、担任の先生に地元の国公立大学を受験するように勧められました。

その時私は学年トップの成績だったので、学費の比較的安い国公立を目指して奨学金を借りれば四年間通えるはずだ、とアドバイスを受けました。

 

でも私は奨学金を借りてまで大学に行きたい、その時は思えませんでした。

四年間っていうのがまず長すぎると思ったし、四年後に奨学金の返済を始めなきゃいけない。

ざっと計算しても、結構な金額。

借金してまで大学に行く意味があるとは思えませんでした。

 

結局、高校卒業後は名古屋にあるホテルの専門学校に行くことに決めました。

その学校には委託奨学生という制度があり、二年間分の学費をホテルが立て替え払いしてくれる代わりに、二年間ホテルで働きながら学費を返済していくというものでした。

しかもホテルが寮も支給してくれるし、勤務時はまかないも出る。

学費が毎月お給料から差し引かれて、実際に口座に振り込まれる金額は毎月5万円前後。

決して多い金額ではなかったけど、自分の家族から離れて暮らすことができて、専門学校卒業後には借金もなく就職できるし最高だと思いました。

 

あとは、私は田舎の貧乏育ちだったので、ホテルという華やかな世界に憧れがありました。

まだうちの家計がそんなに苦しくない頃に家族旅行で泊まった素敵なホテル。

きらきらしていて、毎日ここで暮らせたらどんなにいいだろう、と思ったのを覚えています。

 

でも、、、ドバイで働き始めてから、大学に行かなかったことを後悔するようになりました。

私が当時働いていたのが、ドバイの5つ星ホテルの中にある高級日本食レストラン。

そこにお客様としていらっしゃる日本人の方の多くは、ドバイで働く駐在員の方々でした。

日本人なら誰もが知っているような大企業の駐在員として働く方々からいろいろな話を聞かせてもらいました。

私が話を聞かせてもらった多くの方が、大きなプロジェクトに携わっていたり、仕事を通して中東の国に多くの貢献をしていました。

 

そんな方々の話を聞いて『すごい、こんな仕事が世の中にはあるのか』と思いました。

それと同時にあることに気づきました。

こういう大企業に勤める駐在員の方々のほとんどは『大学卒』なのです。

それも、日本人ならだれもが知っている大学の出身。

その時、わたしはなぜ高校のあの時大学に行く選択をしなかったのかと初めて悔やみました。

ホテルでの仕事はやりがいがありました。始めたときは大好きでやる気に満ち溢れていたと思います。

でも、だんだん海外まできて私は何をしているのいだろうと思い始めました。

決して、海外の日本食レストランで働くことを否定しているわけではありません。

でも、わたしはだんだんと自分の仕事に誇りを持てなくなっていました。

 

自分の仕事なんて誰でもできる、私なんてちっぽけな人間だ。

お客様と接するのがだんだん嫌になってきました。

学歴で仕事で人の価値が決まるわけじゃないってことはわかっているのに、自分がほかの人より劣っているように思えて仕方がありませんでした。

二年間働いたのち、契約を更新することなくドバイを去りました。

 

今までとはまったく違う仕事をしたいと思い、東京で事務職に就きました。

私を東京で雇ってくれた会社、一度は不採用通知を受けたのですが、一週間後に連絡が来て繰り上げ採用となったのです。

私と同時期に入社した人が四人いたのですが、たまたまなのかわかりませんが四人全員がアメリカの大学卒でした。

聞いてみると、繰り上げ採用で受かったのは私だけ、しかも、わたしは面接から採用通知まで一ヵ月待ったのにほかの皆は面接後一週間で採用通知があったそうです。

もちろんそれが学歴と関係してるかはわかりません。

でも当時の私は『自分の学歴が低いから、採用を渋られた』と受け取りました。

でも、それでも採用されたんだから頑張ろう、と思いました。

 

ドバイを去れば、ホテルで働くことを辞めればこの学歴コンプレックスから逃れられると思いました。

でもそんなことはありませんでした。

結局どこへ行っても『自分が気にする』限りこの悩みはついてきました。

これを解消するにはどうしたらよいか。

一番いいのは『気にしない』ことでしょう。

でも、それができたらとっくにそうしています。笑

 

そんな時、アメリカに住む叔父と叔母に留学の話を持ち掛けられました。

最初は『もう30歳目前だし、今から何勉強するっていうの。。』と思っていました。

実際、ホテルを辞めてからほかに興味もしたいこともなかった私。

でも、、本当に行き当たりばったりだけど、学校に行ったら自分の中で何かが変わるかもしれない、と思いました。

 

実際コミカレに通い始めて、、学歴コンプレックスは解消されたのかというとそんなことはありません。

コミカレに行く人の多くはコミカレ卒業後に四年制大学に編入を控えています。

また、わたしがコミカレで出会った人の中にはすでにほかの大学を卒業済みでコミカレには資格をとりに来ている人などもいて、、結局コミカレに通ったら通ったでまた上を目指したくなってきたのです。

associate's degreeなんかじゃぜんぜんダメだ、bachelorまでとらなきゃ、、そしたらmasterとってPhDとって、、って欲が湧いてくるのです。

結局私は何を目指してるのか、、自分でも全然わかりません。笑

 

多分私は『すごい仕事をしている人=高い学歴がある人=人間としての価値が高い人』だと思い込んでたんだと思うんです。

きっと『すごい仕事をしている人=高い学歴がある人』という式はあながち間違ってはいないと思うのですが、だからと言ってそれと自分を比べて自分を卑下したり、鬱っぽくなる必要はまったくなかったと思うのです。

 
以前短い間ですが、ドバイの駐在員の男性とお付き合いをしたことがありました。
その男性は車関係の仕事の方で、その人に私の当時の仕事(レストラン)の悩みを話したことがありました。
すると彼は『お前の仕事は良いよな、せいぜいミスっても客を怒らせて返しちゃうくらいだろ。俺の仕事は俺がミスしたら億単位の金が動くんだからな。』と言いました。
それを聞いて『わたしの仕事は彼の仕事と比べたらちっぽけなものなんだ。』と思いました。
思えばそれが引き金で自分の仕事を卑下するようになった気がします。
 
でも、今思うと、、そうだったのかな?
わたしの仕事はちっぽけだったのかな?
確かに動くお金の単位は桁違い。
でも、その億単位の仕事をする人たちが気持ちよく食事が出来ているのはレストランのスタッフがいるからであって、、
どの仕事をしている人がより優れていて、どの仕事をしている人が下だとか、そういうのは無いはず。
ただ、それぞれが違う役割を担って生きているというだけ。
どれも必要な仕事で、みんなプライドを持って働いている。
稼ぐ金額も、求められる能力や学歴も確かに違う。
でも、『仕事=その人の人間としての価値』としてみることが違ったんだと思う。
私はきっとここの部分を勘違いし始めたのだ。
だから、学歴のない自分、レストランで働く自分を『価値の低い人間』だと勘違いし始めたのだと思う。
結局のところ、学歴がどうのこうのじゃなく私自身が自分の仕事に誇りを持てなくなったのがダメだったんだと思う。
 
それに気づけたからと言って、ホテルやレストランでまた働きたいとは今は思っていません。
10年その業界で働いてみて、もう自分はめいいっぱいやったと思うからです。
コミカレを卒業して、新しい仕事を始めたときに私がどう感じるかはわかりませんが、くれぐれも学歴や仕事を『自分の人間としての価値』
とごっちゃにしないようにしたいと思います。
じゃないと、また答えのないループにはまって苦しんでしまうから。。