2008/03/08
 
 
何だかなぁ・・・。
 
何で天皇杯の決勝や、残留争いから抜け出る
大事な試合の時は負けて
こういった親善試合のような大会で勝っちゃうかなぁ(--;
 
今回も全く勝つ気配もせず
鹿島にとっていいかませ犬になっているのは判っていたし、
絶対に勝たなければいけない試合でもないので
とりあえず仕上がりを確認するために上京した。
 
そんな私の考えとは裏腹に気候のよさも手伝って
観客は結構入っていた。
(のちの発表では2万7千人)
4年前に行った同大会の観客席はガラガラで
早春の寒さを際立たせるような雰囲気だった。
しかしこのままではマズイと思ったのか
今年はやたらメディアでの告知が多く
サンフレの顔である佐藤寿人のインタビューが
流れるなど、協会の広報活動が功を奏したのだろう。
 
さて、試合が始まる。
どういった試合にも勝ちに拘る鹿島だけあり
サポの応援も広島で見るものとは比べ物にならないほど
気合が入っていて数も多い。
サンフレサポも頑張っているが
そこははやはり数が違いすぎる。
 
メンバーはGK・木寺DF槙野、ストイチコフ、森脇
MF・ハンジェ、青山、服部、桑田、森崎浩司
FW・佐藤寿人、平繁・・・さして目新しいことナシ。
 
試合もそんな感じで、サンフレは頑張っているが
いかんせん鹿島の選手のほうがレベルが高く
簡単にはボールをキープさせてくれないし
回すこともままならない。
一旦ボールを取られてしまうと簡単にスペースを突かれ
危ないシーンを作られてしまう。
 
そんな去年何度も見た光景と同じことが
また繰り返されていた。
 
が、突如去年と違う展開が起こる。
何と守備の要である岩政がわずか12分で
2枚目のイエローで退場となった。
ぼんやり見ていたので断言は出来ないけど
そんなに立て続けに出すほど厳しい守備という感じではなく
通常のDFの守備レベルのように見えたけどな・・・。
 
ま、ウチとしてはこの調子じゃ普通だと
去年と同じ思いをさせられるので
ハンデということで(笑)。
 
・・・なんて思った私が甘かった。
 
サンフレは数が多いハズなのに
ロクにチャンスを作ることも出来ず、攻め込まれるシーンすら
出てくる始末。
 
そう、このチームは調子を相手に合わせてしまう
悪癖がある。
残留争いで格下である京都との試合でも
J1のスピードに慣れないうちに攻め込むことをせず
のんびり攻めていたから、結果取り返しの付かない
失点をしてしまい今に至っている。
 
どうやら今年もその悪癖は健在のようだ。
これではJ2を戦い抜くのは難しいと言わざるを得ない。
 
そしてやっぱりモタモタしている間に
ハンジェが岩政と同じように(さして厳しくもない守備で)
イエローを立て続けに2枚頂き(帳尻合わせ?)
私の淡い期待はあっけなく吹き飛んだ。
 
だからと言ってその後一方的にやられるほどではなく
ボチボチに危ないシーンもありながらも
前半を切り抜けた。
 
特に思うところ無く、後半開始。
 
ふと、大型ビジョンに目をやると寿人と一緒に
茶髪のチャラそうな選手が映っていた。
そう、サッカー選手とは思えない細いカラダの
高萩洋次郎だ。
 
ボールに殆ど触っていない桑田と変えてきた。
去年と引き続き監督にいるペトロヴィッチ監督。
今年は少し早めに手を打つようにしてるのかな?
 
高萩は個人的に期待している選手の一人なので
ここでようやく観戦モードに入ったけど
目に入ったのは、やっぱり去年と同じ失点シーンだった。
 
7分間に2点入れられる。
1点目はクリアミスからボールを渡したうえ
キーパーの判断ミスも重なり、1点。
2点目は守備の弱点(戻りながらの守備がもろい)を
突かれキレイに、2点目。
 
サンフレ側の観客にも諦めムードが漂ってきた。
私も、3点目を覚悟したその時だった。
目の端にベンチに立つ懐かしい見覚えのある
ユニフォーム姿の選手を捉える。
 
久保竜彦だ。
 
横浜FCから解雇通告を受け、その後サンフレの
トライアウトを受け戻ってきた、広島にとっては
絶対的な選手。
 
未だに佐藤寿人を見分けきれないのに
何年も見て無いハズのこの選手だけは
すぐに見つけてしまう自分に思わず苦笑い。
 
試合は相変わらず鹿島ペースで進んでいるが
私のなかではどんどん大きくなる高揚。
久保が出てくるまでの5分は本当に長かった。
 
ついに、その瞬間はきた。
もちろん私はこれを期待してこの試合を
観戦にきただけに嬉しさも倍増だ。
 
懐かしい感覚に捉えられる。
いつも何かを期待させ、そしてそれ以上のプレーをみせて、
サッカーを本当に楽しませてくれる。
 
久保がピッチに入ると国立は鹿島サポのブーイングと
広島サポの歓声で騒然となる。
 
さあ、ショーが始まるぞ。
 
久保に苦杯を飲まされている鹿島選手は
自然と下がり気味になり、広島は
鹿島陣内までボールが運び易くなった。
それだけでなく、マークが久保に集中するので
佐藤寿人や森崎浩司がボールに触れ
テンポよくパスが回りだす。
 
久保にボールをまわせ。
 
選手もサポも気持ちは一緒だ。
特にいいプレーでもないのに、久保がボールを触ると
歓声とどよめきが起きる。
以前と全く変わらないサポとチームがそこにいた。
 
久保のプレーは以前と大差はない。
あまり下がることをせず、前線でラインを気にしつつ
タイミングを図って、ボールがきたら一気に走り出す。
長い手足を上手に操りボールを懐にいれ、すかさずゴールを狙う。
少し違いがあるとすれば、むやみに相手選手に突っ込むことが
無くなって間合いを巧く取るようになっている。
 
流れは広島だ。
ここが勝負と踏んだのか、ペトロヴィッチ監督は
青山を下げ新加入のFWユキッチを投入。
舵取りを無くして心配だったが、鹿島が下がり気味ということもあり
なんとか攻め込まれず流れを掴んだままでいた。
 
とは言え、天皇杯・リーグと2冠王者である鹿島は
甘くはなく自陣内にこそボールを運ばせても
決定的なシーンというのは作らせてはくれない。
いつものパターンとしてこのまま試合終了か、と
思っていた時だった。
 
クロスを鹿島ゴール前で鹿島の選手と久保が競って
2人ともバランスを崩して倒れた瞬間、笛が鳴り
主審はPKを指示。
瞬時に歓喜に沸き返る広島側。
ためらいながらも久保は自らボールを拾い
蹴る準備をした。
 
これには驚いた。
いや、判定は私から見たプレーとしては
倒された感はなかったけど
主審からそう見えたのなら、ラッキーということで。
 
それよりも久保が自らキッカーに名乗り出たこと。
この選手はプレッシャーに弱いところがあるので
広島時代には5回ないくらいしかPKはやってなく
自分がPKをとってもいつも違う選手が蹴っていた。
そいつが、この大事な場面でしかも
今シーズンチーム最初の点を入れると言っている。
 
この瞬間涙がでてきた。
どう表現したらいいのか判らない。
たぶん嬉しいのだろう。
久保はこのチームがJ2に落ちた時に移籍をした。
しかし、彼も苦汁の決断だったようで
移籍先のチームに移籍金等全て広島の言う通りに
して欲しい、と懇願し契約時には泣きながらの契約となったと
伝え聞いている。
しかしそんな話が出ても尚彼を裏切り者扱いをする人もいれば
理解を示し応援している人もいて、久保に頼りきっていた広島は
しばらく久保の幻影を追うことになっていった。
ようやくその混沌とした状態から落ち着きを取り戻し
佐藤寿人という新しいエースと共に歩み始めたばかりの時に
決まった久保の復帰。
恐らく、彼を恨んでいたサポも応援していたサポも
それぞれに複雑だったに違いない。
久保本人もかなり迷ったようではある。
私も複雑だった。これがJ1ならもう少し嬉しく思っていただろう。
しかし、チームがJ1に戻るため絶対に負けられないシーズンだからこそ
戦力としてシビアに結果を求めていかなければならない状況なのだ。
ハッキリ言ってこんなにサッカーがつまらなく思う見方はないし
そんな目で久保を見たくないし、見て欲しくも無い。
そんな誰もがどうしたらいいか判らない中で、今ゴールをしようとしている。
 
笛が鳴り、久保はあっさり決める。
タイミングが悪かったらしく蹴りなおしとなったが
再び決め、1点を返す。
 
言いようも無い喜びを吐き出すかのように観客は沸く。
 
本当は出てこないほうがヘタに批判の矢面に晒されなくていいんだ。
だけど、待ち望む自分がいて、再び見れることを嬉しく思い
複雑な心境のなかに久保に歓声と拍手を送る観客のキモチを
考えると出てくる涙は抑えられなかった。
 
こうしてJ2という苦行の年はかつての絶対的エースのゴールで
幕開けとなった。
PKが蹴りなおしになるというマヌケ加減も実に広島らしい(笑)。
 
ここですでに私の中では勝敗はどうでもよくなっていた。
2失点で広島の現状は見えていたし
久保のプレー、しかも復帰1号を見れたことで満足だった。
だが、ここからが反撃の展開となる。
 
審判の判定に動揺したのか、得点によって
浮き足立ってしまったのか鹿島DFが慌しくなる。
そこを一気に付くように広島は波状攻撃をしかける。
 
それまでは全く中央に合わなかった服部のクロスから
佐藤寿人が鹿島DFのタイミングをハズしヘディングシュート。
ループぎみにゴールに入り、GK触れず。
なんと追いついてしまった。
 
残り時間はロスタイムを含め10分ほど。
ヘタにもがくとヤラれてしまうと感じたのか
鹿島は思っていたほどの怒涛の攻めはなく
なんとか広島は凌ぎ、試合終了。
PKでの決着となった。
 
そしてPKでは3-4で勝ってしまう。
 
・・・勝ってはいけなかったのでは?
 
ここでヘンに勝つより負けたほうが
今シーズンに向けて良い心構えになりそうなんだけどな。
と、思う私をよそに選手達は歓喜の輪を作っていた。
 
うん、でも嬉しいかな。
今までここ(国立)ではいつも授賞式を恨めしくみてたけど
今日は自分達が掲げているんだし。
観客の声援に滅多に答えない久保が答えてる、嬉しそう。
遠くからでも選手の喜びが伝わってくる。
シルバーコレクターにサッカーの神様が
ご褒美をくれた、そう思おう。
 
さぁ、明日からは厳しい現実が始まる。
最後にみんなで笑えるよう頑張ろう。