14年前 我が家に番犬としてやってきた 

親戚の名犬にあやかり なち と名付けられ

息子や友達と遊びながら大きくなりました

 

名前負けで 名犬とはいいがたいし

散歩の途中で不用意に猫に近づき

猫パンチを顔に受けちゃうような

やんちゃでお間抜けな犬

番犬の役割は半分くらいしかできなかった

 

わたしの父が世話をしていたけれど

歳を重ねてだんだんと難しくなり 

最近は散歩などは夫がつれていった

年明けから徐々に弱っていき

とうとうお別れの日が来た

 

覚悟はできていたし

家族の中で関わり合いが一番少なかったので

冷静に対応できると思っていた

なのに 眼振もバランスもひどく 

動揺がおさまらない

 

巡りあわせなのか 彼を託した業者の車を

ひとりで見送りながら 心の中で謝った

車に乗るのが嫌いだったのに ごめんね

ありがとう なち さよなら なち

 

悲しみは予想より大きく

隣家の犬の声すら 彼に聞こえる

主のいない犬小屋が悲しい