はじめてあの人の顔を見たときに、
きっといつかそういうことになるんじゃないか、
そう予感したのだ。

そして心のど真ん中に、  (そうだよ、ど真ん中にね)
いつかそういうことになりたいという願望の種みたいなものが蒔かれてしまったのだと思う。


そのときあたしには、
とてもとても愛していると信じている人がいて、
その人といつも一緒にいたのだった。

あぁもどかしい。

まわりくどい言い方するな。

いまはただの作り話をしているだけだ。



いつも一緒にいて、
愛していると信じていた人と、
一緒に見たのだ。

あの人の顔を。


最初に見たあの人の顔は、
忘れられないほどあたしの目に焼き付いた。

一緒に暮らしていた「愛していると信じている人」の横で、
あたしの心は、
波打ったんだ。


まだもどかしい。

どんなにもどかしい書き方をしたって、
あたしがした汚い行為は、消せるものではないのに。


それでも、
どんなに汚い行為だったとしても、
人間として許されないほどあたしがどれほど人を傷つけたとしても、

もし、本当にそうだったとしても、
(本当にそうなのだが)

それでも、
あたしは、
あの人のことを愛してしまった。

今まで「愛していると信じて」きたどんな男よりも。


今回のは、
本物だと思う。
「懲りないな、まだ言うか」

恥ずかしいぐらい、
あの人のために、
自分を成長させることができている。
誰かのために、
自分が良くなろうって思ったのは、初めてなんだ。


今回のだけは、
本物だと信じたっていいんじゃない。
それでもまだ、
疑いますか。

疑っているのは、
いったい誰ですか。

なんだか書いてて、本当に恥ずかしい。

これは作り話なんだから。
恥ずかしくない、恥ずかしくない。