私は家出をし、
ある男の家に住み始めた。
その男は、彼氏の友達だった。
何ヶ月ぐらい住んだか、覚えてない。
東京都内の6畳のアパートに私は転がり込んだ。
楽しかった。
毎日、その男のために洗濯をし、その男が吐いたものを片付けた。
全然嫌じゃなかった。
なんでだろう。
好きでもなんでもなかったのに。
その男と私は大変に気があったんだと思う。
なんだかいつも冗談ばかり言いあっていた。
その男は昼間会社に行っていたから、私はその間に家事をしていたんだな。
暑い夏だったな。
花火も見にいった。
どこかのレストランから、花火が良く見えると聞いたので、
そこを予約して、食事をしたんだ。
その男には小さな息子がいて、
その子には会えなくて、
それは、たぶんその男が酒乱だったから。
その花火を息子に見せたいと、何度も言っていたような気がする。
その男は、酒を飲むと人が変わった。
だけど、彼氏じゃなかったので、別に嫌だとも思わなかったんだ。
かなりしつこい性格になる。
かなり嫌な性格になる。
説教くさいんだ。
だけど私も住ませてもらってる立場だったから、
彼の説教を一生懸命聞いた。
丁寧に聞いていたと思う。
彼氏じゃなかったから、案外気楽に付き合えたんだ。
一緒に住んでいたのに、体の関係は一度もない。
男も私も、お互いに興味がなかったみたいだ。
それは私にとって、幸せの記憶。
男とは、連絡が取れない状態になっている。
その原因は、何かあったんだと思うが、今、思い出せない。
メールしてもエラーで返ってきてしまう。
いつか、もう一度会えるときが来るだろうか。