お風呂のあとは幾分すっきりした。
そしていつもは特になんでもない「家」に帰ってきて、心がすっと床に着地できたような気がした。
夫には退院して家に帰ったことは伝えた。
いつかえってくるかの確認をすると1月6日とだけ、返信があった。
あともう1つ
子どもと接する前に病気がないかだけ確認しといて。
いや。わかるよ。
私が病気もらってて、それが、子どもにうつるリスクを考えたんだよね。
うんうん。わかる。
でもその時欲しい言葉じゃなかった。
私はスマホの電源を切ってバッグに押し込んだ。
なんの情報も欲しくない。
とりあえず自分を取り戻すため、職場へ行き、取り憑かれたように仕事を片っ端から片付けた。
ふと気がつくと時間は夜の6時をまわっていた。
明日は大晦日。
大晦日はお節を作って、年越しそばを食べる。
元旦はお節とお雑煮を食べる。
そのルーティンを崩したくなくて、ぼんやりと「買い物にいかなきゃ」と思い、職場を後にした。
スーパーで必要なものをカートへ入れてレジへ向かう。
レジでクレジットカードを取り出すためにスマホを探す。
バッグの奥底から出てきたスマホには驚く件数の通知が溜まっていた。
すこし怖くなって、とりあえず会計を済ませた。
心を落ち着かせて通知をみると、ほとんどがケント君だった。
何かあったのかな?と思い電話を書けると、3コールもしないうちに出た。
「ゆかさん今どこですか?!」
すごい勢いで、何かあったのかと心配になった。
「S駅前のスーパーだけど。どうしたの?」
「今すぐ行くんで、動かないで待っててください!」
そう言って電話は切れた。
待っててと言われても待つ場所もなくて。
外は寒いので隣のカフェでコーヒーをテイクアウトした。
大好きなコーヒーを少しずつ楽しむ。
アロマティックな香りが心を丸くつつみこんでいく。
悴む手もコーヒーのおかげで温かい。
コーヒーを半分ほど飲んだ頃、こんなに寒いというのにケント君は汗だくで現れた。
「何してたん?急におらんくなるから心配したやん!」
「えっ?私?」
「他に誰がおるん?」
「ごめんね。ケント君いなくて、どうしても今年最後のゴミ収集に間に合うように帰りたくて。」
「それならそうと言わんと心配するやろ!電話でてよ」
「ごめんね。ちょっとあってスマホをサイレントにしてた。今まで仕事してたから気づかなくて。。」
「はぁ。。。もーなんなん!今は絶対無理したらあかんやろ!いや、怒りたいんとはちゃうんよ。もう一生会えないかと思って。1日中辛かった」
そうポツリと呟いた。
私は申し訳なさでいっぱいになった。
あれだけお世話になって感謝してるのに。
私はいつも自分勝手。
ケント君の気持ちまで考える余裕もなかった。
何を伝えても気持ちを全てを伝えれない。
「ごめんね」と伝えるのが精一杯だった。
「ゆかさん、旦那さんが帰省している間だけでも、俺とずっと過ごしてくれへん?その間だけでも独り占めしたい。」
そう言われて、じりじりと胸の底に熱が燻った。
