孤独な怪獣の記録 | 秘密の3ch

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Sanjuna μυστικό
象朱奈秘密
비밀 산쥬나
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都内某所で行われる式典
何故か静かに
あまり取り沙汰されることの無い記念日

父は毎年一人で
式典が終わった頃
人ごみを避けてお参りにいってたらしい


朝鮮から日本に来てた祖父
父は神田の生まれで深川育ち
当時、うちは鉄工所をやっていた

その日の直前
父の学童疎開へ行かせる要請を断り
鹿島の祖母の実家に預けた

鹿島からも夜空を真っ赤に照らす

鉄工所のある
東京の町を燃やし尽くす業火を
見てた祖母と父は
なにを思っていたのだろう


数日して
父の前に祖父が現れる

焼け野原から歩いて来たという

鉄工所には親戚や職工が大勢いたが
助かったのは
今、水原(スウォン)に住む叔父の祖父と
父の祖父だけだった

鉄工所の前には深川小学校
その防空壕には
疎開しない五六年生の学童がすずなりで
体育座りのまま死んでいた

低学年の子供たちが行った
学童疎開組先も空襲を受け
全員死んだという


祖父が探し回り
遺体の見つかった人もいたけれど
見つからない人も多かった
その日、亡くなった人たちの為の式典

家族の誰にも言わず
父は1人で毎年来ていた日

ある年それを私に話し同行させた

建物の管理の人だろうか
父と私に突然話しかけてくる

「一人ぼっちで可哀想な怪獣がいる
見てやってください」と

探すと天井近く並ぶ照明の
ひとつだけ


「誰にも気がついて貰えなくて
   可哀想なんですよ、
   見てくれてありがとう」

そう言って自分の仕事に戻って行った。


私が車の運転を控えてくれと頼んでしまい
その後はきっと行けなかったのだろうと思う



何故だろうあまり
取り沙汰されることの少なく
知られることの無い記念式典

何故その記念公園に
知られることの無い
可哀想な怪獣が居るのか

何を思って父は
ずっと誰にも告げずに
毎年
一人で来ていたのだろうか。


早く私が運転に慣れれば、
もう一度連れて行けるのに。

クラッシャー嬢
撮影快調だそうです

仕事重なって私は撮影絶賛休止中
明日ピカイチさんで一区切りするまで

右下矢印ある日の撮影現場@待機中

2020.3.13
下北沢ピカイチ

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皆様の健康ため、
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