牛さんはいつも、
駅へ向かう大学の通り、ベーカリー横の、室外機の上
ともすると誰かが寄るので、お昼寝もできなかったかもしれないなあ
室外機と並びに棚が作られ、牛さんの部屋がある
ダンボールの部屋の中にはモコモコタオルケット
表札はフルネーム
おいらの自部屋より立派な佇まいです
ホルスタイン模様で
近所の人達は牛さんと呼んでた白黒猫さん
おいらをよそ者を見る風でもなく、さりとて愛想がいい風でもなく
ひねもすそこで人の行きかう通りを見てる牛さんに
さわりたかったけど
ごきげんようのごあいさつだけして
いつも先を急いだ
年末帰省のさい、いつもの姿がみえなくて
のぞいたお家にも近くにもいなかった
凄く寒い日が続いたから、飼い主さん宅かなって
付属幼稚園も小学校も冬休み、学生たちは帰省して
静かな大学通りで
牛さんも退屈だしね
年明けすぐにUターン
まだ人気のない通りをまっすぐ牛さんのお家に行ったら
入り口は閉じられ
室外機のある窓に飼い主さんからの張り紙
年末某日腎臓の病気で闘病のすえになくなったと
可愛がってくれた人達に飼い主が
牛さんに代わって感謝を述べてた
この町は学校も多いけど、それより神社仏閣で有名らしかった
ずっと住んでるのに、いつも通りすがり
ちゃんと行ったことなかったな
新学期が始まり
駅までの大学の通りも人が戻って
ひねもす牛さんのいた室外機は
写真や手紙や
お花が増えていくようです
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