そこにいた2人の少年は

野球をしているようだった。

野球と言っても1人が投げ、1人が打ち、投げた方の少年がボールを拾いに行く、というのをひたすらに繰り返しているだけだったが。

「おぉ、野球かぁ」

隣から急に大きな声がしたものだから、少年2人はもちろん、僕まで驚いてしまった。

大人には得てしてこういうところがある。

その後の子どもの気恥ずかしさなんておかまいなしなのだ。

そんな僕の戸惑いをよそに、父さんは少年達に向かって歩き始めてしまった。

仕方がないから僕も父さんの後を、小走りで、少し俯きながらついていった。

近付くと、ボールを打っていた少年が、思いの外大きいことに気付く。

坊主頭で、季節先取りのT シャツ短パンだった。

その斜め後ろには、僕より少し小さな背丈の少年がいて、その子はしっかり長袖を着ていた。

「何年生だ?」

父さんがそう聞くと

「3、あ、次4年。」

と坊主頭がぶっきらぼうに答えた。

「そうか、じゃぁこいつと同級生になるな」

と父さんが僕を前に引っ張り出した。

2人の視線が、より一層居心地を悪くさせたが、父さんに頭を押さえられ、礼をした形となった。

すぐに父さんの後ろに戻り、シャツの袖口を引っ張った。


父さんは
「おぉ、じゃあ、4月からよろしくな」と言ってもう一度僕の頭を押した。





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今まで「ことば」というカテゴリーで

不定期に更新してきましたが、

「ちょっと長いの」というカテゴリーで短編ものを

更新していきたいと思います。

(相変わらず不定期ですが)

急に色合いが変わって違和感あるかと思いますが

誰かの暇潰しになれば幸いです。





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--あの子はいつもカーテンの向こう側だ--


父さんの転勤で東京からこの町に来たのは、

小学4年に上がる3月だった。

川と森と年寄りしか存在しないかのような田舎町で

最寄り駅まで、車で1時間以上もかかった。

父はこの小さな町の交番で、
警官(というより、“おまわりさん”の方がしっくりくる)
として赴任してきたのだ。

都会生まれの母さんが、
ぶつぶつと文句を言いながらも
引っ越しも一段落し、
父さんの提案で、
4月から通う予定の小学校を見に行った。

母さんも誘ったけど、
疲れたから、と言って
来なかった。

家から20分ほど歩いたところに
学校はあった。

父さんの胸あたりまでの高さしかない石の校門の向こうに赤土色の
校庭が見えた。

子どもの数が少ないということで、
小中合同の校舎だ。

前の学校にはあった沢山の遊具は
1つも無く、
校庭の隅っこに、タイヤを縦にして
半分だけ埋めて作られた跳び箱が
5つ、申し訳なさそうに並んでいた。

春休みだというのに、
何人かの児童が見えた。




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