
「やっぱり週末に来た方がよかったかな…」
雨に濡れた桜を恨めしそうに見あげる彼。
雨の哲学の道は時間が早いこともあって人っ子一人いない(笑)
最初は週末に訪れる予定だった京都。
寒の戻りで桜の開花が遅れていた事と多忙な彼の体調がイマイチだった事もあって、たまたま2人ともお休みだった平日に予定を遅らせていた。
晴れ男の彼の事だから天気なんて気にしてなかったみたいだけど、新幹線の手配をしてから予報が悪い事に気がついた。
いつもはそれでも晴れさせてしまう強力な晴れ男だけど今回はそうもいかなかったみたい(笑)
「久々に来れたのに何か悪りぃな」申し訳なさそうに謝る彼。気にする事なんてないのに…。
半分ほど下ったところで脇道を左に逸れた。曲がった道の先に真っ直ぐな石畳の参道が現れる。
その長い登り坂をあがると小さな神社がある。
今では有名になってしまったみたいだけれど、当時はまだあまり知られていなかった狛犬ならぬ狛ネズミが鎮座している神社である。
ここに来たのはもう何年前になるんだろう?
あの時と同じ様に狛ネズミが境内の椿の花でおめかしをしている。
そして境内の中ほどには結び石。
まだ少女だった私は彼との将来を信じて疑う事などなかったけれどその石に願いをかけた。
でもそれから長い時間が流れて、色んなことがあって「結び石なんてまやかし」と思う様なことも何度もあった。でも幾度となく切れた縁はその都度結びなおされた。
もうあの頃のような少女ではないけれど、やはりこの石に願いをこめる。
そして隣に彼の笑顔がある事のお礼を伝えた。
