ベッドサイドの灰皿で煙草をもみ消すと、隣に置かれた小さな箱を手に取った。
リボンをほどき蓋を開けると、ちょっと不恰好なチョコが現れる。
「作ったのか?」そう訊く俺に、『ついでよ』 と、みほはそっけなく答えた。
ついで…何の? いや、訊くのはよそう。
そのチョコを1粒つまんで口に放り込むと、ビターチョコの苦味が口の中へと広がった。
俺の胸に凭れたみほは、壁の時計へと視線を走らせると時間を確認して小さなため息をついた。
時間がないのは分かっている。今日だってかなり無理をしてここにやってきたに違いない。
だけど…
俺の腕を抜け出しベッドから出ようとした彼女を引き寄せるとしっかりと胸に抱きしめた。
『雄輔…?』 俺を見上げ、何か言いかける彼女の唇をふさぐ。
そのまま彼女を組み敷き、何も纏ってない肌へと指を這わた。
『…んんっ!』
カーテンを閉め切った薄暗い部屋に浮かび上がる白い裸体が、荒くなる息と共に脈打ちはじめた。
熱くなる肌はうっすらと汗ばみ、溢れる泉は容易に俺の指をのみ込む。
それなのに、お前は唇を噛みしめ、声を出すことを頑なに拒み続ける。
恥ずかしく淫らな音を響かせながら、それでも俺を求める言葉をお前は決して口にはしない。
その事が俺の中の嫉妬の炎をより煽り立てる。
俺を…俺だけを見てくれ…。
決して声には出さないが何度も叫んできた言葉。
痛いほどに硬くなった熱いものを彼女の中心にあてがい一気に貫く。
弓なりにしならせた身体を押さえつけるように抱きしめ首筋に顔を埋めた。
「ミホ…」 絞りだすように言った声が掠れる。
「もっと…もっと俺を欲しがれよ」
その言葉にハッとしたように彼女の身体の動きが止まった。
『雄…輔…』俺を呼んだみほの声が震えていた。
『い…いの?だって…だって…私…』
初めて見せるすがるような表情で涙が零れるのをじっと堪えている。
あぁ、俺はバカだ。どれだけ求められ、どれだけ思われていたかがようやく分かった。
「愛…してる」 初めて口にした言葉にみほの内がざわめきだし、腰を細かく揺らす。
『…ぁん…雄輔。…して…いっぱい…いっぱい…し…て…』 溢れた涙で頬を濡らしたみほが初めてねだった。
みほの浅いところから深いところまでを何度も何度も擦りあげる。
その度にみほは俺をしめつけ、高い声をあげた。
『…ぁ…ぁ…だめ…イク…またイッちゃう…ぁ…あ…ぁああああ~!』
「イケよ…何度でも。もっと…もっと…。ぁ…ぅうっ…」
俺も何度目かの熱いものを迸らせた。
窓の外はもうすっかりと日が暮れていた。
ミホ…。もう…あの人の所へは帰さない…。