明日は約束の1年目の日。夏海を部屋まで送ってきていた。
月命日のその日、夏海は娘の墓に寄ってから行くと言う。
「明日…おれもついて行こうか?」
停めた車の中で心配になってそう訊いた。
『どうして?(笑)』 夏海が不思議そうな顔をする。
「だって…心配だよ…何か…顔色も悪ぃし…」
そう言ったおれに呆れたように笑うと言った。
『雄輔は心配性ね。大丈夫よ、忙しかっただけだから…睡眠不足(笑)
それに、明日は剛士も一緒だから…。約束の時間に迎えに来て』
夏海が車を降りて1人の部屋に帰っていく。
その後ろ姿を見送りながら、
夏海の言葉が真実でない事が分かりながら、どうにもできない自分に歯痒さを感じていた。
〈少し時間あるか?〉
お墓参りの後、そう訊く剛士と近くのカフェに寄った。
〈夏海、俺、結婚するよ〉
窓の外を見ながら唐突に言った剛士にカップを持つ手が止まった。
どうして?私が幸せになるまでは見守ってくれるんじゃなかったの?
言葉にも出来ず、その横顔を見つめていた。
そんな私の気持ちを見透かしたように剛士が言う。
〈もう大丈夫だろ?雄輔がいる〉
剛士がゆっくりこちらを向いた。吸い込まれるような優しい瞳…。
〈分かるさ。ずっと夏海を見てきたんだ〉
『剛士…』
〈まだ話してないんだろ?早く話せ。雄輔なら大丈夫だから〉
『…違…ぅ…』
〈え?〉
『…ううん。何でも…ない。剛士…おめでとう。』
そう言うと私は無理に笑顔を作った。
違う…違うのよ。そういう事じゃないの…。
そう思いながら、私は残りのココアを飲み干した。
つづく