雄輔君と出逢ったあの海に向かう。
海岸に見覚えのある人影があった。
「雄輔君・・・」
今は会いたくなかった。
私は背を向けて走り出したが、すぐに追いつかれ腕を掴まれてしまった。
『離して!!』
「夏海さん・・・」私の声に驚き手を離すと、つぶやくように聞いてきた。
「昨日ひとりにした事、怒ってる?」
『怒ってはいないけど・・・』
「けど・・・?」
『寂しかった』
やだ。私、何を言ってるんだろう?
『・・・怖いのよ。今でもこんななのに、一緒にいたらもっと好きになる。もっと好きになってから、雄輔君がいなくなったら、・・・そう思うと怖いのよ』
雄輔君は私の前にしゃがみ込むと、私の手をとった。
うつむいてる私の顔を下から覗き込むように見上げると、言った。
「夏海さん、もっとシンプルに考えてみてよ。余計なもん全部とりのぞいて・・・。おれの事、嫌い?」
首を横に振る。
「じゃあ、夏海さんの側にいさせてよ。年下で頼りねぇかもしんね~けど、もうひとりで泣かせたくねぇんだ」
『・・・・・』
「夏海さんに側にいて欲しいんじゃなくて、おれが夏海さんの側にいたいの。だから、ゼッテーいなくなんねぇから。・・・それじゃダメ?」
『・・・ゆぅ・・す・・けぇ・・』涙がボロボロあふれてきて、言葉にならない。
雄輔君は立ち上がると、左腕で私を抱き寄せて、反対の手で涙をぬぐいながら、
「夏海さん、ホント泣き虫だよなぁ・・・」と優しく笑った。
『雄輔君のせいだよ・・・』そう思いながら、いつまでも涙が止まらなかった。
昨夜とは全く違う涙だった。
窓から月の浮かぶ海が見える。
雄輔君と初めて会ったあの日と同じホテル。
バスルームから出てきた雄輔君に背中から抱きしめられる。
「夏海さん・・・」
振り向いて、その唇に人差し指を押し当てて、首を振る。
『夏海・・・』
「(///∇//)・・・夏海」
『(〃∇〃)・・・雄輔』
それから長い長いキスをした。
おしまい