船が出る時間が迫ってきた
どことなく二人の会話が「楽しかったね♪」から
「楽しかった。。。ね。。。」に変わっていった
船尾のほうに座り、島が遠ざかっていくのをぼんやりと眺めていた
「藍。。。?」
「ん??何??」
「。。。何でもない。。。」
そう言って、藍の肩に腕を回した
藍は俺の腰に腕を回した
この南の島で何度愛し合っても、外でこんな事をしたことはなかった
そうさせない雰囲気とそうしようとしない雰囲気が
この数日間で変わっていった
雄が遠くを見る目が、切なく感じた
あたしの視線を感じて、遠い目を優しい眼差しに変えてほほ笑む
海の潮風を感じながら、
もう終わりが近づいてきたことを雄の眼差しの中にも感じていた
ホテルに戻る前に、シーサーを作った工房へ向かった
そこにはイメージ通りのシーサーが出来上がっていた
丁寧に新聞紙に包まれ、対のシーサーを紙袋に入れてもらって
それぞれの作品を手にホテルに戻った
もう。。。時間があまりない
俺は忘れ物がないかどうか確認しながら荷物を詰めていた
藍も詰めてはいるが、一向に急ぐ気配がない
「藍?急がねぇ~と、遅れっぞ!!」
「うん。。。」
「どうした??」
荷物を作る手を止めて、藍の方に歩み寄った
藍は荷物を作りながら、俺に背を向けながら言った
「ごめん。。。言ってなかったっけ??
あたし。。。雄と同じ便で帰んないの。。。
一便。。。後なの。。。」
俺は、唖然とした
てっきり、同じ便だと思い込んでいた
いや。。。確かそんなこと言ってたはずだ。。。
だから、ほんとに別れんのは都会に戻ってからだと思っていた
「いつ。。。便変えたんだよ。。。」
「離島に行く前。。。かな
もうちょっと、ゆっくりしたくなったから。。。」
嘘だった。。。同じ便で帰る勇気がなかった
現実にも戻って、ガッカリされたくなかった。。。
きっと、あたしの一番いいとこだけ見せたかった
『ひと夏の想い出』なら。。。綺麗なままでいたかった
「藍。。。」
後ろからそっと包み込むように抱きしめようとする腕から逃れた
「雄。。。元気でね。。。
あたし、雄に会えてよかったよ
楽しい想い出いっぱい出来たから♪」
空を掴むように行き場をなくした雄輔の腕は、
躊躇しながらも、ふっ切ったように紙袋に向けられた
「藍。。。これ、一個交換しねぇ~か。。。」
無造作に包まれた新聞紙を解きながら1匹のシーサーを取りだした
戸惑うあたしを無視して、あたしの紙袋から1匹のシーサーを取りだした
口を開けた方のシーサーを交換すると、また紙袋に戻した
何も言わず、ただただ俯いているあたしに向かって
大げさなぐらいの大声を上げた
「やっべぇ!!こんな時間!!
じゃ、俺行くな♪」
そう言って、大きな荷物を持ちあたしの前を通り過ぎていく
堪らず顔を上げた
そこには、立ち止まって振り向く雄輔の顔があった
荷物を下ろし、近づいてくる雄輔
そっと包まれるように抱きしめられ、唇を重ねた
軽く触れるキスを繰り返し、次第に熱いキスに変わり始めた時
あたしは雄輔の胸を押し返した
「。。。遅れるよ。。。」
「ぁあ。。。じゃ。。。」
「うん。。。じゃ。。。」
『またね』の言葉をお互い呑み込んで、雄輔は部屋を後にした
一人残った部屋の中
気がつけば、頬を涙が伝っていた
結局連絡先も何も聞かないまま
紙袋に自然に手が伸び、対のシーサーを出した
『ひまわり』と『YOU』の書かれたシーサーと
『お日様』と『I』と書かれたシーサー
二つで一つ。。。その姿が妙に切なかった
雄輔の作ったシーサーを手に取る
何気にひっくり返してみると裏に一言書いてあった
『また、会えるといいな♪ YOU』
奇跡でも起きない限り。。。無理だよ、雄。。。
あたしの涙がシーサーにポトリと落ちた。。。
゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
思い出すな~。この回は本当に切なかった~!。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
でもって、『どうなんのよ~~~~?!』って思ったら、『次って、あたしじゃん?(゜д゜;)』…みたいな(笑)
この時ほど一読者に戻りたいって思った事はなかったよ(-。-;)
しか~し!タイムリミットは24時間。
誰に決められた訳でもないけれど、負けず嫌いの2人、意地になってましたね(笑)