和美と一緒になって2年と少しの月日が流れた。
2人の間に生まれた翔(かける)は1歳半になった。
産休と僅かばかりの育休は取ったものの、今も和美は働き続けている。
今日はお休みだった僕が早めに翔を保育園に迎えに行き、公園で遊びながら和美の帰りを待っていた。
『直樹』仕事を終らせた和美がやって来る。
「遅かったね」
『ごめんなさい。ちょっと寄り道をしていたの』
和美は顔の前で両手を合わせて笑ってみせる。
その愛くるしい笑顔は、子供が生まれた今でも変わらない。
変わったのはお互いを「和美」『直樹』と呼ぶようになった事くらいだろうか。
広場を動き回って遊んでいた翔が何かに躓いて転ぶ。
ちょうどベビーカーを押して通りかかった夫婦が助け起こしてくれている。
座っていたベンチから立ち上がると、慌てて和美と2人で駆け寄った。
〈坊主エライな~♪泣かないなんて強いぞ~♪〉笑顔で褒める男の人にお礼を言った。
〈男の子は元気ですね~♪〉そう言って人懐っこい笑顔を見せる。
「ええ、そちらは女の子ですか?」
ベビーカーの中で眠る生まれて間もない感じの赤ちゃんを見て訊いた。
〈そうなんですよ。今から嫁に出したくなくて…〉
そう言った彼に《雄輔ったら(笑)》と奥さんが呆れたように笑う。
その微笑ましい様子にこちらまで笑顔になる。
〈優しそうなご主人ですね。今…幸せですか?〉翔を和美に渡しながら彼がふいに訊いた。
『ええ、とっても!』和美が満面の笑みで答える。
『そちらはいかがですか?(笑)』
〈もちろん!な~サチ?〉彼らも満面の笑みを返してくれた。
彼らと別れて家路へとつく。
ベビーカーの中の女の子を思い出していた。
「女の子も可愛いもんだね」
『そうね。次は女の子がいいかしらね?』和美が意味ありげに言う。
「…?」すぐには意味が分からなかった。
『またお金がかかるわよ(笑)』そう言ってお腹に手をやった和美にようやく意味を理解する。
「それじゃあ…」
『もうすぐ3ヶ月ですって(*^^*)』
ガッツポーズをして喜ぶ僕に目を細めると和美がそっと腕にもたれてくる。
『直樹♪』
「ん?」
『好きよ…愛してるわ』
「ぅん…知ってるから(笑)」そう言った僕に和美が照れくさそうに笑った。
おしまい