お互いの指はまだ絡めたままだった。
『何がいけなかったのかな』
そう言いながら腕にもたれてきた真美の頭を雄輔は反対の手でそっと抱きよせた。
『昔…よくこうやって頭ポンポンしてくれたよね(笑)』
「…そ…だな(笑)」懐かしそうに雄輔が笑う。
そんな時の真美は照れくさそうで、でも嬉しそうな笑顔が可愛いくて…。
「俺が…甘えてたんだ。最初からずっと…」
『ゆ…すけ?』真美が身体を少し離すと雄輔を見あげた。
「何でも包み込んでくれるお前に甘え過ぎてた」
絡めてた指をほどくと雄輔は真美の肩を抱き寄せた。
ゆっくりと話しだす。
一緒に暮らすようになって安心してた事。
優しくてしっかりしてる真美に甘えていた。…と。
「言葉にしなくても、真美は分かってくれてるって。俺…[ありがとう]も[ごめんね]も言わなくなってた。
包んでもらうばっかりでお前の気持ち、考えようとしなかった。言わなくてもわかるだろ?って。お前にばかり呑み込ませてた。
伝えるって大事だよな。言葉にして伝えなきゃいけない事ってあるよな?
だから、あの日泣きながら怒るお前にはっとして、でも素直に謝れなかった。さらに酷い言葉でお前傷つけた。
お前に追いだされて、どんなに傷つけてたか、どんなに守られてたか思い知ったんだ。
お前のところに戻りたかったけど、こんなに傷つけてどの面下げて帰れる?って」
雄輔がそんな風に思っていたなんて…。
あの日…。
喧嘩して、いつものようにはぐらかす雄輔に、いつもならあるラインで掛けるストップが効かなかった。
心の中に抑え込んできた気持ちが…納得できなくて忘れようとしていた想いが蘇ってくる。
売り言葉に買い言葉。
怒りながら泣き出した私に「バッカじゃね~の?」と言うと、雄輔は私を残して部屋を出て行った。
「機嫌が悪いな」 ぐらいにしか思ってないんだろうな。…そう思った。
違うのに…。きちんと向き合って欲しいのに。思われている。大切にされている。って実感が欲しかった。
もう限界かな?雄輔が好き。一緒にいたい。でも、このままじゃ…。
最初の頃のように包み込まれるような安心感の中で素直でいたいのに…。
『留守中に出ていって!』 メモを残し部屋を出た。
友人のところで数日を過ごし部屋に戻ると、もう雄輔の荷物は残っていなかった。
『結局その程度にしか思われてなかったんだ』 と思った。
自分で追い出したくせに、素直に部屋を出て行った雄輔にひとり泣いた。
「ごめんな。今さら…遅いけど」 肩を抱く雄輔の力が強くなった。
涙が溢れてくる。
「真美…?」
泣いてる事を気づかれたくないのに、嗚咽がもれる。
「…いいのかよ?俺なんかの前で泣いて。…今は相手が違うんじゃね?」
そう言った雄輔の声が微かに震えていた。
つづく
ま~さ~か~?…のこんな時間更新(笑)