『雄輔?』
「あ、ごめん。ボーっとしてた(^_^;)」
雄輔の店。いつものようにマルコポーロを飲んでいた。
『疲れてるんじゃないの?最近、お店忙しかったから』
「そうだなぁ・・・でも、それなら咲希の方が大変だったろ?仕事しながら毎日のように手伝ってくれてたんだから。何か礼しなきゃなぁ(・∀・)」
『そうね、何か買ってもらおうかしら?(笑)』
口ではそう言ったけど、欲しいものなんてなかった。
雄輔と一緒にいられる時間が宝物だったから。
「今日、急ぐか?もう少し待ってろよ。ここ片づけたら送ってくから」
店を手伝って遅くなった時は送ってもらう事もあったが、この日はまだ営業時間中。
『え~?だって今日は早いよ。それに、お店・・・』
「今日はいいよ。もう店じまい。俺も疲れた(-。-;)」
「どした?」 帰りの車の中で雄輔が聞いてきた。
「今、何考えてた?」
私はその時思っていた事を聞いてみた。
『ん・・・雄輔は何であそこでお店始めたのかな?って』
「・・・たぶん・・・咲希がオレの店に来る理由と一緒・・・」
びっくりして雄輔の方を見たけれど、雄輔は軽く笑っただけで、それ以上何も言わなかった。
そのまま会話がないまま車はアパートに着いた。
雄輔が大きな欠伸をした。
『大丈夫?やっぱりかなり疲れてるみたい・・・』
「大丈夫だよ。おやすみ」
『おやすみ』 そう言って車を降りた。
『やっぱり休んでいって。眠気覚ましにコーヒー淹れるから』
ハンドルにもたれて眠そうに手を振る雄輔を見て、思わず言っていた。
「変わんねぇな~」 部屋に入った雄輔が言った。
1年半前までは遊びに来ていた部屋。あの頃と同じように壁にもたれて座る。
私はコーヒーを淹れにいった。
砂糖多めの甘いカフェオレを作る。雄輔はこれが好きだった。
食器棚を開けると、当時雄輔が使っていたマグカップがある。
私は今でもそれとお揃いのカップを使っていた。
でも、この日は止めた。違うカップにカフェオレを注ぐと雄輔の所に戻った。
壁にもたれたまま雄輔が眠っていた。
『だから早く寝てって言ったのに・・・。電車で帰るって言ったのに・・・』
吸い寄せられるように雄輔の頬に触れる。
『?』
慌てておでこにも触れてみた。 熱い? おでこをつける。
やっぱり熱い。 息も荒い。
『雄輔?』
「あ、ごめん。オレ、寝てた?」
『そんな事より、熱あるじゃない!』
「大丈夫」 立ち上がろうとしてフラついた雄輔を無理やりベッドに横たわらせた。
「そんな心配そうな顔すんなよ、大丈夫だから。咲希は笑っててくれ。・・・あいつは・・・心配ばっかすんだよ」
『・・・彼女?』
「あぁ・・・。店だってオレが好きでやってる事なのに、不安そうな顔して、心配ばっかりして・・・。何かオレ、悪い事してんのかなぁ?って気になって・・・。咲希が笑顔で応援してくれてなかったら、オレ頑張れなかったかもしんね~」
『・・・雄輔・・』
「だから、笑ってて!」
『わかった(笑) でも、今はやっぱり心配だよ。・・・泊まってって・・。心配で帰せないよ・・』
泣きそうな顔を見せたくなくて、ベッドに顔をうずめた。
「どっちが病人か分らねぇな~。咲希の方が死にそうな声してんぞ?」
そう言って、私の頭をなでてくれた。
「馬鹿だなぁ・・(笑)」 優しい声で雄輔が言った。
つづく