恋夢・・・10 | カンタ印  元気印

カンタ印  元気印

日々の出来事、思った事などをとりとめもなく...

翌朝、目覚めると雄輔君はいなかった。


『ひどい顔・・・』鏡の中の自分を見て、つぶやいた。


剛士との約束に間に合うように仕度をして出かける。


お墓の前で剛士が待っていた。


ふたりで並んで手を合わせる。






「夏海、昨日泣いた?目が腫れてる」


お墓参りのあと一緒に食事をしている時、剛士が聞いてきた。


「またひとりで泣いたのか?」


どう答えたらいいものかと思い黙っていると、剛士から思いがけな言葉が返ってきた。


「雄輔か?」


『どうして・・・?』驚いて剛士を見る。


「やっぱりそうか」


『どうして・・・?』私はもう1度聞いた。


「夏海・・・。ずっと一緒に生活してたんだぞ、わかるさ」


「雄輔の前で泣いたのか?」私はうなずいた。


「雄輔の事、好きなんだな」今度は答えなかった。


大きくため息をついた後、剛士が話し出した。


「夏海、お前が初めて俺の前で泣いた時の事、覚えてる?


気の強いお前が泣いたもんだから、俺びっくりして、でも嬉しくて。


他のヤツの前では絶対に泣かないのに、俺の前では本当によく泣いたよな。


俺はそんなお前を守りたかったんだ。・・・できなかったけどな。


あの子の事故の後、俺、自分の事だけで、気づいたらお前、俺の前で泣かなくなっていた。


それに気づいた時『あ~、もうダメだな』って思って、離婚切り出したんだ。


お前は自分の事、責めてたみたいだけど、違うんだよ。


そこまでお前を追いつめた自分自身が許せなかったんだ」


そこまで言うと、もう1度聞いた。


「雄輔の事、好きなんだろう?」私はうなづいた。


「だったら・・・」


『怖いのよ。若い頃と違って、傷ついたら立ち直るのに時間がかかる・・・立ち直れないかもしれない。怖いのよ』


「そしたら俺のとこ来いよ」


『剛士?』


「俺はお前が幸せになるまでは1人でいる。そう決めてるんだ。だから安心しろ!な?」


剛士は仕事があるからと帰っていった。


帰り際、「雄輔、今日は出張の報告だけで、明日まで休みだから、ちゃんと話しろ!」と言って。


                                                  

                                                        つづく