次世代の党から出馬が決まり、記者会見する元航空幕僚長の田母神俊雄氏(左)。右は平沼赳夫党首=28日午後、東京・永田町の衆議院第2議員会館(写真:時事)

 田母神俊雄元航空幕僚長が11月28日、東京12区から次世代の党の公認候補として次期衆院選で出馬することが決定した。

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 同党は26日、西村真悟氏を大阪16区の候補として公認したばかり。東京12区には元公明党代表の太田昭宏国交相がいて、大阪16区には北側一雄公明党副代表がいる。いわば次世代の党からこの2名が、公明党の牙城に切り込んでいくという構図だ。

 勝ち目はあるのか。28日の会見で、田母神氏はこう述べた。

 「安倍政権の日本を取り戻すということには基本的に賛成だ。公明党は安倍政権がやろうとしていることに反対なので、自公連立政権で実現はできない。自公を分離させなければ、日本の将来は危ない」

 すなわち公明党と闘い、自民票を引き剥がすという目論みだが、田母神氏にそれができるのだろうか。公明党関係者はこう述べる。

 「全く心配していない。そもそも我々が独自候補を立てている9選挙区は、自民党の裏ブランドではない。地元の有権者とは長年の付き合いがある。我々の票は容易に動かない」

■ 田母神氏の得票見込みは約12%

 そもそも田母神氏は12区でどのくらいの票を獲ることができるのか。

 今年2月の東京都知事選では、田母神氏が獲得した票は61万865票で全体の12.55%。12区は北区と足立区の一部(西部)で構成されるが、田母神氏は北区では1万6605票、足立区では2万5661票を得ている。それぞれ全体に占める割合は12.46%と11.75%になり、足立区内に票の偏りがないとするならば、田母神氏の得票率は全体の約12%になると推測できる。

 これを2012年の衆院選挙の結果にあてはめてみよう。太田氏の得票数は11万4052票で全体の51.4%、比例区で復活当選した日本未来の党(当時)の青木愛氏は5万6432票で全体の15.4%だ。12%の田母神氏は彼らに及ばず、小選挙区当選は難しい。仮に4万票といわれる北区の無効票が全て田母神氏に入ると仮定しても、青木氏には勝てたとしても太田氏には及ばない。前述の公明党関係者が述べる通り、太田氏は2003年の衆院選以来、12区で約10万票の獲得し続けている。

 だが田母神氏が比例区で高順位となれば当選の可能性がないわけではない。2012年の衆院選で、石原慎太郎氏を1位に据えた日本維新の会(当時)は、東京ブロックで129万8309票を獲得し3議席を得ている。今回も次世代の党は、いったん政界を引退する意思を漏らした石原氏を引き戻し、複数議席の獲得を狙っている。(東洋経済新聞)




                                      こちらは産経新聞記事(以下)

 次世代の党は28日、次期衆院選で、元航空幕僚長で太陽の党代表幹事の田母神(たもがみ)俊雄氏(66)を公認し、東京12区で擁立する方針を固めた。田母神氏は今年2月の東京都知事選に挑み、60万票以上を獲得した。

 東京12区は公明党の太田昭宏国土交通相が出馬する。田母神氏は産経新聞の取材に「軍隊を創設しなければ国家は自立できないが公明党は反対している。自民、公明両党を分離させ、実現への道を開きたい」と述べた。

 太陽の党で活動を共にしてきた西村真悟衆院議員は次世代の党に移り、公明党の北側一雄副代表が出馬を予定する大阪16区で立候補する予定だ。 

 田母神氏は防衛大学校卒業後、航空自衛隊に入隊し、第6航空団司令、航空総隊司令官などを歴任。平成20年に先の大戦をめぐり政府見解と異なる内容を含む論文を公表し、空幕長を更迭された。