智version〈11〉〈12〉の裏側・翔versionです。
BLの妄想小説のお部屋ですのでご理解いただきお進みくださいませ。



上矢印ひとつ前のお話。



そして、このお話はなぜか?【ほしいもの。】の智くんが校閲?をしてるので智くんの心の声が漏れちゃうことがあるようです。

本文だけお読みになる場合は太黒文字部分だけを読み進めてくださいませ。

今回は櫻井くんもやってきて会話が始まりました。





【翔 視点】


僕としては、この離れた一年がもどかしかった。

(おれだってもどかしかったし、心配だらけだったよ。)


もどかしい反面、智くんが学校までお迎えに来てくれることは嬉しかった。

嬉しかったけど心配もいっぱい掛けてしまった。

智くんと離れてから僕は以前より告白されたり、大勢の女子に囲まれて迫られたり、男子からも告白されたり、時には圧を掛けられたりする事が増えたんだ。

(それそれ!ほんと翔ちゃんモテすぎるんだよな。それは…今でもなわけで…彼氏としては困るんだよ?)


そのおかげでというか、そのせいで倒れる回数も増えて気を失った僕を智くんがお迎えに来てくれることもあって、なんとく恥ずかしいのと…申し訳ない気持ちにもなった。

忙しいママも心配するし。
智くんのおばさんにも迷惑かけてる。

(そんなことないけど?たぶんあの頃だって、おれも母ちゃんも迷惑だなんておもってねえよ?
ま、心配はしてたけどな。)


それと…倒れる回数が多いということは、それだけの恐怖心も抱いてしまって学校に行きたくなくなった。

頭も痛くなるし、時には吐き気が起きて何も食べたくなくなる。

(体調を崩してたことあとで知ったけど、ここまで酷かったの?頭痛に吐き気とか同時に襲って来たら…おれ耐えられねえわ。
おれなら母ちゃんに泣きついて速攻で病院連れて行ってもらうレベルだぞ?
この頃…翔ちゃん病院とか行ってたんか?
今でも、たまに倒れちゃうし…本当は苦しいし、頭痛も酷いし、胃とかも調子悪くて吐き気もあるとか…を隠してたりしてねえ…よな?) 


そんな自分を見られたくない。
弱い自分を見せたくない。
情けない姿の自分を見て欲しくない。

智くんは強くてかっこいい。

でも…僕は…パニックを起こして倒れたりして弱いし強くなりたいのに迫られたりすると頭ん中真っ白になって気がついたらベッドの上。

だんだん学校に行くのが怖くなって休みがち。
家のベッドから出られない日もある。

そうすると母さんが心配する。
一人にして欲しいのに会社休んだりして。

じゃ心配掛けないようにしないと!って頑張ると…会社を休んだから倍忙しくなってるのか?帰りも遅くなるし、帰宅してからも大変そうでそれも嫌。

ママはその気なくても、それは伝わってくる。

迷惑かけたくないのに、僕が体調崩して休むと母さんに迷惑かけちゃう。

だからって無理して学校に行けばパニックを起こさなくても倒れる可能性がある。

そんな僕を心配してか?智くんがよく来てくれるけど…頼ってばかりなんて恥ずかしくて…会いたくない気持ちが浮上する。

好きなのに。
好きだから。
弱い自分を見られるのが嫌。

こんな日はできれば会いたくない。
そう思ってる時に限って智くんがやってきた。

(おれは翔自体が弱いなんておもってないよ?
おれが心配しちゃうのは、この頃も今でも翔が好きだから!ただそれだけなんだよ?

おれはそんな目に遭わないし、翔ちゃんみたいな体質?じゃないかもだけど…ちがうからやってこれてるだけ。

もし…同じ感じなら、おれだって学校行ってない!

確かに、あんなふうに囲まれたり頻繁に知らない人から声かけられて挙句に告白されて、それも男子も女子も…女の子なんて…その子がうまく行かなかったら囲むとか…言い方悪いけどその子をダシに使って翔ちゃんに近づきたいだけなんじゃねえの?っておもうもん。

でもさ、好きだから弱い自分を見せたくない、見られたくない…その気持ちはわかるよ。
今なら納得するしわかるんだけど…どうしても翔ちゃんのことだと心配が強くなって『大丈夫?』って大丈夫じゃないから休んだんのに…会いに行っちゃうんだよね。)


「母さんに心配掛けたくないから・・・ごめん、外で話さない?」

自室で顔を合わせると結果、優しい智くんに甘えてしまうのが嫌で部屋には入れず外で話すことを提案した。

智くん…少し戸惑ってる?
ごめん、でも…今日は無理。 

最初は、ふたりとも黙ったまま時間が過ぎていった。

不思議なのは、智くんとふたりっきりだと…こんなふうにあまり良くない雰囲気でもパニックには、ならないし、頭の中もモヤモヤしないし、真っ白にもならない。

ま、ちょっとドキドキするのは智くんに恋をしてるからだとおもってる。

これが智くんと同じ男の子とふたりっきりになって告白でもされて…断って…嫌な空気に包まれて雰囲気も最悪になったら、おそらく僕は息が苦しくなって、どうしたらいいかわからずパニックを起こすんだ。


智くんが来てくれたのは僕を心配して来てくれたんだ。
だけど部屋で話すのを拒んだのは僕なんだから、先に口を開くのは僕だよね?

「智くん・・・僕が学校休んでること?」


「学校、無理することないんじゃねえの?」


「でも・・・」


「翔は勉強できるんだし。」


「そんなこと・・・」
 
そんなことない。
小学校はそれでよかったかもだけど中学校の勉強はそうもいかない。

学校に行かなくなると、たちまち分からなくなる。
久しぶりに学校に行ったとして授業を受けていても、わからなかったりすると焦るし休まなきゃよかったと後悔もする。

だから、慌てて友人にノートを見せてもらったりして…今では登校するとこっちから頼まなくてもノートを貸してくれる。

それがあるから、なんとかなってるだけだもん。


「なんなら朝も、おれが送ってやろうか?」

(っておれ…どんだけ上からなのよ。こん時のおれ…少しイラッとしてた?心配してやってるのに!ってなってた?
や、でも…まじで心配してただけっぽいよな。
今振り返って見ても。)


「ダメだよ。
智くんだって高校あるでしょ?」

高校生だって中学生と変わらず朝は同じだろうし、送ってもらうなんて…とんでもないし、申し訳ない。


「そうだけどさ。
何も・・・」


「ごめん、智くん…大変だから帰りも来ないで?」


「え?大変なんかじゃ」


「あるよ!!僕・・・が、智くんを願ってばっかりだと・・・強くなれないから。」 


「翔は別に強くならなくても・・・おれが守ってやるって!」

(これが、きっと良くないんだな。これは…だっておれの自己満足じゃん!)


「僕は、女の子じゃない!俺だって!強くなって、せめて智くんと対等になりたいの!だから智くんとは当分会わない!!」

智くんからしたら頼りなくて弱々しくて女の子みたいかもしれないけど…なんなら言い寄られて囲まれたら倒れちゃうんだから女の子よりも弱いかもだけど…僕だって頑張って強くなりたいし!精神的にも強くならなくちゃ!って考える!考えてるんだから!!

(翔ちゃんが女の子みたいでかわいい♡だから好き!とかじゃないんだからね!おれは翔ちゃんだから好きなんだからね!あとで今の翔ちゃんに伝えないと!!) 

「智くん?また、姫櫻のところ?で校閲?だっけしてるの?」
「あ、翔ちゃん!」
「はやく来てくれない?来てくれないなら…ひとりでスル…けど?」
「ひとりで?だめ!それは!おれがやる!あ、おれとしよ?」

「大野さん?櫻井くんと何をするか?知りませんがw櫻井くんに言わないといけないことあるのでは?」

「あ、姫櫻!こんにちは!あのさ、あまり智くんを呼び出さないでくれる?」

「櫻井くん?勘違いしてるわよ?あたしが櫻井くんを自ら呼ぶことがあっても大野さんを自らこの部屋に呼ぶことはないわよ?校閲というかこれだって『翔ちゃん視点ならおれが1番に目を通していい?』って言うから『どうぞ?』と言っただけで…読んだら読んだで心の声だだ漏れちゃうしw。
だからね、あたしが呼んだわけじゃないのよ?」

「智くん…自ら…姫櫻のところに出向いてるの?僕を放置して?」
「え?ちがわね?姫櫻さんも変な言い方するな!」

「間違ってはないわよ?」
(放置?どゆうこと?もうあたしの脳内は変態妄想しか浮かばないわよ?櫻井くん?や、待って!こんなかわいいこを(ベッドの上に)放置してこの部屋に来たの?え?それ…わざと?わざとなの?)

「もういい!僕ひとりでスル!智くんの手なんか借りない!智くんのなんか要らないもん!」
「や、ちょ、っと待って!おれの要らないとか言うな!一緒にスルからいいんだぞ!」

「あの?その話をここで詳しく教えて?なんなら…実演してもいいのよ?道具がいるなら揃えるから!」

「姫櫻さん何言ってんの?道具なんて翔ちゃんには必要ない!おれので十分なの!」
「智?何言って…」

「ま、その前に言わないとね?大野さん?」

「だからなんなの?智!僕に何を言おうとしてるの?」
「お、おれは櫻井翔だから好きなんだよ!」
「・・・・・智・・・はやく来て?お願い?」
(だから!そのお願い?とか反則なんだってば!)

(って校閲しないのかしら?てか何するのかしら?覗きに行かないと!だよね?
あ、ごめんなさい!現在のふたりが何するのか?は…また今度ね!)



「はあ?」

智くんは驚いてたけど、僕は自室へと急いで戻ってベッドに寝転んで枕に顔を埋めた。

怒ってるのか?
泣いてるのか?
それすら分からなかった。
それほど心が挫けていたんだ。


これは喧嘩?
僕は智くんと喧嘩したのか?
喧嘩だとしたら、初めての喧嘩かもしれない。
え?待って?喧嘩じゃなくない?
今のは僕が一方的に智くんを拒否っただけだ。