謎の言葉

 

 

 「むまのきつりやう きつにのをか なかくぼれいり くれんとう」

 

 

「これは何?」

 

 

 資季大納言入道さんが具氏宰相中将さんに「あなたが尋ねるくらいのことは、お答えできないことはないです。」と言いました。

 

 具氏さんは「どうでしょうね。」と答えたので、「ならば、質問してごらん。」と資季さんが返しました。

 

 「本格的に難しい事は少しも習得していないので、質問することはありません。何でもない、どうでもいいことの中で、よくわからないことをご質問しましょう。」と具氏さんは答えました。

 

 資季さんは「ましてや、身近な事ならば、どんなことでも解き明かして見せよう。」と続けたので、天皇や側近や女房たちも、「面白そうです。どうせならば、天皇の御前で対決したら宜しいでしょう。負けた方は勝った方にご馳走するということでどうでしょう。」

 

 天皇が二人を呼んで勝負させました。

 

 

「当時の天皇は気さくな人だったのですね。」

 

 

 具氏さんは「幼い頃から聞きなれていることで、意味を知らないことがございます。『むまのきつりやう きつにのをか なかくぼれいり くれんとう』とは、どんな意味なのでしょう。」

 

 資季さんは言葉を詰まらせ、「つまらない事だから、言うまでのことはない。」と言ったので、「もともと難しい学問のことは存じません。何でもない、どうでもいい事をお伺いすると最初に約束したではないですか。」と具氏さんが答えました。

 

 資季さんは負けを認め、ご馳走を盛大にふるまわれたということです。

 

 

「資季さん、潔いわね。」

 

 

 第六十二で「ふたつ文字 牛の文字 直ぐな文字 歪み文字とぞ君は覚ゆる」という和歌の事を言っています。「恋しく君のことを思っている」という意味なのですが、このくらいなら私でもわかりました。

 

 

「これなら、私でもわかるわ。」

 

 

 「むまのきつりやう きつにのをか なかくぼれいり くれんとう」

 

 

 私には、この謎のような言葉は全く分かりません。しかし、このような謎を研究している人たちはいました。「馬のきつ 駒澤大学」や「山内研究室 メッセージ」に詳しく書かれています。(検索したら出てきます。)

 

 私はここでギブアップしました。

 

 

「難しいわね。ここから先は専門家の領域ね。」

 

 

 兼好さん、これは”遊び心”などではなく、ただただ謎の文です。

 

 

 

「徒然草の謎は深まるわね。」

  - ヒメの一言 -