開運!なんでも鑑定団? 徒然草 第八十八段

 

 八十八段は「開運!なんでも鑑定団」に、所有する作品を出す人の気持ちを書いたような文でした。

 

 

 ある人が小野道風が書いたという和漢朗詠集を持っていました。

 

 ここで、ちょっと一言。

 

 小野道風さんは平安時代前期から中期にかけての貴族・能書家で、花札の札の人の一つである「柳に小野道風」で有名な人です。”三体白氏詩巻”や”智証大師諡号勅書”は国宝に指定されています。

 

 

「最近の若い人、花札なんてしないでしょ。”雨四光”なんて知らないよね。」

 

※”雨四光”は花札”こいこい”の役で、「柳に小野道風」の札が必ず入らなければなりません。

 

 

 その和漢朗詠集を見た人が「言い伝えが根拠ないわけではないのですが、藤原公任(966年~1041年)が編集された和漢朗詠集を小野道風(894年~967年)が書いたのって時代的に無理があるんじゃないのですか。」と言ったのです。ところが持ち主は「だからこそ、世にも珍しいんですよ。」と言って、今までよりも大切にしたそうです。

 

 

「その人、面白い人ね。しかし、その人の子孫はいい迷惑かも。」

 

 

 確かに藤原公任さんと小野道風さんは1年間ほど時代を同じに過ごしていますが、和漢朗詠集は1031年頃成立したので、どう考えても小野道風さんは書けないですね。

 

 

「ご先祖様からのお宝だと、子孫は大切にするんでしょうね。」

 

 

 この人が「開運!なんでも鑑定団」に出演して、「オープン・ザ・プライス!」と言って出された査定額を見て何というでしょう。(当時の貨幣単位は”円”ではないのですが。)

 

 

 

「うちには、お宝はないの?」

  - ヒメの一言 ー

 

 

 「うちのお宝は、あなた達ですよ。」 父と母