なかなかブログを更新できない。夫の在宅勤務が続いており、パソコンを置いている書斎を夫が独占しているからだ。最初、同じ書斎で私もパソコンを開いていた。我が家のWi-Fiが書斎にあり、そこが最も電波状態が良好だったからだ。でも、ある時、私に背中をみせて仕事をしていた夫が、急に立ち上がって私のパソコンを覗き込み、何書いてるの?と聞いてきた。私は、ブログを書いている真っ最中だったので、思わず「ブログ!」と答えてしまった。が、これがいけなかった。夫は、私が羽生さんのファンであることも、試合やアイスショーに行くことも知っている。だから、自然に「羽生くんに関するブログでしょ。読ませて」と、言った。私は、すぐにパソコンを閉じ「絶対ダメ」と拒否した。それからは、私のハンドルネームを知りたがり、すごく詮索する様になった。
 そこで、私はパソコンを開くときは、書斎から一番遠いリビングの隅っこのテーブルを使うようにしたが、Wi-Fiのルーターから遠い分、接続が悪く、なかなか繋がらなかったり、途中で固まってしまったりする。
 なぜブログの内容を夫に見られたくないのだろう、とふと考えた。わたしが羽生さんのファンであることは、夫のみならず多くの友人も知っている。夫婦で羽生さんのコンサートへ行ったり、友人達も、羽生さんがメダルを取ったりすると、おめでとう、良かったね、とメールがくる。
 けれど、羽生さんを、どのように愛おしみ、その美しさに、いかに耽溺しているか、その強靭な精神性にいかに魅かれているか、私の心の奥にある想いまでは、夫や友人などリアルに接している人には知られたくないのだ。いや、知られたくないというより、心の中に隠すことで日常の生活から切り離したおきたいのだ。

 なぜなら、羽生ごとは、日常生活の中で日々体験する思いとは、全く別次元のこころの空間でのわたしの心的・感性的な体験だから。