お達者倶楽部。
同年代の気の合う同僚4名で創設。
会費、無料。
新規会員募集、予定無し。
創設した時はまだ全員が30代前半だった。
耳にした誰もが「何故お達者なの?」と必ず訊ねるほど、
お達者という言葉が全くしっくりこない、
うら若きお年頃だった。
見た目は麗しき乙女だけど、
そう、実はかなりのお達者ぶりを発揮する破天荒者たち。
それを自覚している私たちにとっては、
ものすごくしっくりくる言葉だったのだ。
創設当時は全員同じブランドで、同職種に就いていた。
当時から、4人揃えば好きなことを言いたい放題、
話が飛ぶ、戻る、ブッ込む、暴走する、等は日常茶飯事。
私以外は関東出身者なのに、
なぜか皆私以上に笑いを取ろうとする関西人気質。
揃いも揃って、話を聞いているようで聞いていない性格だから、
誰かの質問に対して答え終わる頃に、
また別の人から全く同じ質問が飛んでくる。
同じ会話を3回繰り返すのはごく普通の出来事。
「それ今答えてるから~、爆」と笑いながらまた一から話してくれる。
(こうやって文字にして気付く。
若い頃から老老介護のような関係だった。)
そして人並みにブラックなことも言ったりする。
(皆、人懐っこくのんびりしているせいか、あんまり酷い事を言っているように聞こえず、ブラック発言だったと気付くのには相当時間がかかる)
そして、必ずフォローを忘れない。
悪いところを見つけても、同じくらい良いところを探す天才達。
でも妙に思慮深いというか、
根っからの気の遣いやさんばかりで構成されているから、
人に優しくすることは好きなのに、
優しくされることに対してむず痒く恐縮しまくる。
スベろうが、脱線しようが、必ず我先にと拾い上げてくれる。
粋な?お節介ぶりとひたすら我が道を行く性格が、
近所のおばちゃん?おばあちゃん?みたい。
お達者という言葉がとても似合うメンバー。
そんな心地よい仲間たち。
時が過ぎ、気付けば皆40代後半、
なかなか本格的なお達者年齢になっている。
既に会社を辞めている会員もいて、
四六時中一緒の関係では無くなった。
なので、会合はだいたい年イチペースになっている。
先日の会合では、
白髪染めのこと、老眼のこと、体力低下、夫への不満、老後の心配……
ちょいちょい、会話の端々にお達者用語が現れるようになった。
とはいえ、以前からの破天荒なお達者ぶりは変わらず。
例えば、私たちが尊敬する大先輩の開業について2時間ほどしこたま心配したあと
(才能溢れる素晴らしい人なのだが、ズル賢さが皆無でピュアなので、経営面を(勝手に)心配していた)、
「ま、先輩には幸せになってもらいたいよね。」
「そうだね。」
という、他人行儀で無関心この上ない、『どうにかなるだろう』的な言葉で話を締めた。
あの熱い会話の行く末がこれ?と思わず突っ込みたくなる。
このユルさがたまらなく身勝手お達者感を醸し出す。
みんな変わってない、笑。
元々我々の老後計画は、
「会社の近所で定食屋を開き、
会社の若者にご飯をいっぱい食べさせ、
仕事の相談を受けたり指導したりするお節介先輩面ババアになろう」
なんて言っていたのだが、
悲しいかな、
今は誰も会社の行く末に興味が無い。
というわけで、
情が熱いんだか淡白なんだかわからない、
子供のいない我々は、
とりあえず老後はひとところに住んで、
「最近〇〇さんを見かけないわね~」となったら部屋に確認しに行く程度の
ユルユルオバアシェアハウスをする予定。
一緒にいると、
オシャレカフェだろうが、
とんがったレストランだろうが、
そこは陽だまりの縁側になってしまう。
そんな陽気な仲間たち。