【石好き】

そのまま石が好きと言うことだ

一般的には

「石好き」= 「天然石好き」と変換出来る


コンクリートやレンガなど

人工物が好きな人を「石好き」とは呼ばないだろう


「石好き」と言っても範囲カテゴリーは広く

鉱物コレクター

天然石ルースコレクター

天然石ビーズコレクター

宝石コレクター

などなど価値観が異なる


私はと言うとその何処にも属さず

実を言うと天然石そのものの姿形に全く興味も拘りもない

どうせ破壊するのだからね


天然だろうが人工だろうがその物体の持つ隠れたポテンシャルに興味がある


見えない部分に夢を見る


なんかエロいな…


加工する事が生業である

言わばマタギと同じで食べる為に狩をする


素材を見て楽しいとも思わないし癒されるなど毛頭思わない


天然の姿形の美しさより、そのレアな部位をいかに美しく磨きあげるかが私の狩であり価値観だ


糸魚川翡翠

海石だろうか川石だろうか加工した翡翠だろうが、ひとそれぞれ価値観が違う


その石翡翠か?

昨今、石コロモドキを翡翠と言う風潮がある

馬鹿げてる

私にはモドキを狩る習性はない

そのうちアスファルトの欠片まで黒翡翠と言い出すのではなかろうか

まぁそれが個人の価値観なら何も言いますまい



1954年  今から68年前の出来事。

河川堰堤工事の名目で小さな河川に鎮座する巨石は発破された。

当時 中学生だった青年は自宅近く流れるその小川で飛び散った大きな石を人夫として村の駅まで何往復も運びお小遣いを貰い喜んだ。

掌に入る程度の小さな破片は放置されたが全人夫が引き上げた後、青味のある小さな破片の何個かを持ち帰る。

青年にとって特に興味のなかったその石は押し入れの段ボールの底に転がり人目につかず忘れられ時を過ごした。


やがて青年は老人となり偶然その石を見つけ当時の記憶を私に語りながら微笑んだ。

老人は言った


「小林君 この石欲しければ譲るよ」


老人にとっては手放しても惜しくない想い出なのだろうか

その石は老人にとってその程度の価値観だと言うことなのだろう




それは15年ほど前の話

石には必ずエピソードがある