実は私 乙女座
ガキの頃は男のくせに乙女座とか恥ずかしくってさ、皆には獅子座だと嘘をついていた
オッチャンの今となってはどうだってよい
乙女座のオッチャンである
ちょうど今、9月は乙女座の月ですな
何だろう、不思議なもんで山梨の水晶爺さんから一年ぶりくらいに電話が来てね
水晶出てきたから顔出せと
***水晶爺さんは数十年前、山梨県の水晶の鉱山で珪石を運ぶ人夫だったらしい。私は過去数回にわたり水晶を譲ってもらった経緯がある。現在では廃坑、立入禁止で採取は出来ない貴重な山梨産水晶***
なんでっだって! よし行く! ( ͡° ͜ʖ ͡°)
以前、7回ほど訪問し、譲ってもらったのは良い水晶は2回、加工に使えない水晶は5回
負け越している
水晶爺さん宅に到着し早速見せてもらうと…これ
ォィ ジジィ !
水晶の 頭はどうした?
ボディはどこやった?!
ォィ! ヽ( ̄д ̄;)ノ
何やら綺麗なところはハンマーで割って業者に売って小遣いを稼いだらしい
ォィ ジジィ ! 割るなし( ´Д`)
ゴミを売って小銭稼ぐ為に私を呼んだか!(´Д` )
相変わらずギャンブル性のたけージジィだなオイ
と、取り敢えず、小遣いほど渡しゴミを持って帰る
一週間後、また水晶爺さんから電話
まだ、あったけど見せるの忘れていたから来いと
ジジィ
新潟から山梨県
謙信と信玄じゃあるめーし
近所じゃねーんだからさ (´Д` )
まぁ行くけどさ… (実は少し期待している私)
そろそろ確変くるだろ!
爺さんが墓に持って行けるほど糸魚川産の紅ズワイ蟹をこれでもかと、たっぷり買い込んだ
車の後部座席は蟹が満載、そして水晶欲しさで私の下心も満載で山梨県に向かった
車内、蟹くさい…
到着
爺さんはまだ墓にたどり着くには程遠いほど顔艶も良く今日も元気だ
「爺さん!蟹持って来たからどうぞ」
何処から現れたか婆さんと娘?らしき人が蟹を黙々と母屋に運び出した
え? いきなり何処から来たの? (・・?)
そうだこの婆やは大当たりの前兆キャラだな
娘と一緒の時は鉄板だな
きっとそうだ!
「おーい! 小林くん! こっちだよ」
爺さんがトラクターを止めている小屋から呼ぶ
余裕を装ったが小走りのミドリガメ程の速度で小屋に向かう私
見るからに汚く古い破けそうなダンボール箱数個に各、乙女坂、はちまん、黒平と書いてある
八幡だけなぜか ひらがな だ
確かに漢字で書けと言われたら私も少し考えるかも
さて、今回はどんな水晶が出てくるか
うーむ。
ほとんどが欠け、割れの擦り水晶だな
乙女坂は乙女鉱山だし、はちまんは八幡山だろう
私「爺さん、黒平は黒平八幡? それとも黒平?」
爺さん「あーその箱だけ集めて入れておいたから」
私「は? 集めたって混ぜたの?」
爺さん「水晶なんて全部同じだよ」
私「 (´Д` )」
取り敢えず、乙女と八幡は辛うじて無事で産地を分けられるがMIXは山梨産水晶と言うことだね…
そこそこ加工に使えそうだし今回は当たりかな
爺さんは蟹と物々交換でいいと言ったがそこは適正な価格で水晶をゲット
工房へ戻りホコリと汚れを軽く流す
乙女鉱山産