しばらくして、A美は笑みを浮かべて応えた。
ながらみなら、いただくわ。
さて、ここで問題。一発逆転を秘めた配点は1万点
最終問題(第997問)
A美の心情を13文字以内で答えよ。なお、句読点は文字数に含めなくてもよい。
ながらみ。
團平喜佐古(ダンベイキサゴ)とも呼ばれる、動物界軟体動物門腹足網古腹足目ニシキウズガイ科サラサキサゴ属の巻き貝で、キシャゴと呼ぶ地域もある――らしい。ま、いつもどおりのWiki頼みの情報 だけれど
もちろん、海なし県育ちのみかんにとって、幼少期にはあまりお逢いすることのなかった貝だけれども、
食卓に並べば小躍り
した想い出が、うっすらながらも残っています。
爪楊枝を刺して、貝をくるっと回せば出てくるそれが面白かったのではないかと思う
同様のものにタニシもあったけれど、貝の美しさから言えば、ながらみの圧勝だったことも理由のひとつだったのかも知れません。
そんな、ながらみ。
塩ゆでもおいしいんですけど、しょうゆに漬けちゃうのが、おかずとしては好みだったりします
■材料 ボイルながらみ*1 1パック(170g) A. しょうゆ 大さじ2 A. 清酒 大さじ2 A. 砂糖 小さじ1 A. にんにく 2カケ(8g) A. しょうが 8g A. 輪切り赤唐辛子 1本分 A. 長ねぎ(青い部分) 15cm A. 水 大さじ4*2
ボイルながらみは、塩分濃度3%(お湯200mlに対して海塩 小さじ1を溶かす)の熱湯に2~3分浸けるか、冷蔵庫で自然解凍する。
お湯で解凍中。
にんにくは芯を取って、しょうがは皮つきのままスライスする。
小鍋(14cm程度)にAを煮立たせて火からおろす。
ながらみを加えて粗熱を取って――
冷蔵庫でひと晩以上寝かせればできあがり。中一日おくくらいが、みかん亭のおすすめ。
半量。
こんなふうにしたり――
こんなふうにして――
みましたが、盛りつけはお好みで。
*1 ヤマサ水産の冷凍品。静岡県産のながらみを塩ゆでしてあるそうです。
おつまみには塩ゆで――解凍しただけのものがおすすめ。ながらみの塩ゆでの方法はヤマサ水産のホームページで紹介されています。
*2 中一日おいたくらいでちょうどよい分量。
しがらみは、いりません。
あ、A美の心情の模範解答ね
明日香川 四我良美渡之 塞益者 進留水母 能杼尓賀有萬思
明日香川しがらみ渡し塞かませば 流るる水ものどかにあらまし(柿本人麻呂/万葉集)
――明日香川もしがらみを立てれば、流れは緩やかになるだろうに
みかんの記憶が確かならば、柿本人麻呂が明日香皇女(あすかのひめみこ)のために読んだ明日香皇女(殯宮)挽歌の二種の短歌のひとつ。
こんな歌を見てしまえば、
しがらみも悪くはないような
気もしますが、確かにみかんも、
ながらみとしがらみならながらみ
を選ぶに違いありません。
食べ物だからでしょ――そうお思いになられたあなたには、1万点は差し上げられませんのであしからず