⬜︎相続税や贈与税・所得税は「富の再分配機能」

 

「3代続くと財産はなくなる」というのは本当であり、嘘でもあります。

 

3世代相続が繰り返される間、常に高い税率が課せられれば財産が大幅に目減りしていくという説です。そう、財産(預金・債券・株式・不動産など)として管理すれば、目減りしていくのです。

資産(利子・配当・賃料)、つまりインカム・ゲインの管理を3世代相続するとどうなるのでしょう?

 

そもそも「お金持ちの家が代々ずっとお金持ちでいるのも、貧しい家が代々ずっと貧しい家でいるのも不公平である」という発想から、お金が集中しているところには多額の税金を課し、なるべく世の中に公平に富が行き渡るようにしようという「富の再分配」を狙いとしています。

そのため「相続財産が多ければ税率も高くなる」という累進課税制度を採用しています。

これは贈与税・所得税も同様の考え方です。

 

その結果として日本は「社会主義的民主主義」と揶揄されるように、世界でも有数の「富の再分配に成功した総中流国家」になりました。これには功罪両面がありますが、今後も総中流を維持し続けることは困難であることは、読者の皆さまも肌で感じているのではないでしょうか?

 

 

⬜︎財産を「次世代に遺したいなら」

 

相続税は少なくて済むものなら少なく済ませたいもので、より多くの財産を子どもや孫に遺したいと思われる方も多いと思います。しかし、遺した財産の有効活用を教えることなく、単に財産だけを遺す風潮が、まんまと3世代相続による財産減少の結末に至るのです。

 

一般的には、「常に最新の税制の動向を把握しながら中長期的な視点で相続税対策を行う」ということを推奨しているようですが、相続に必要なステップは、①争族対策、②資産活用の伝授、③相続税対策、④相続時納税対策、⑤相続発生後納税対策となります。

 

⬜︎ちょうどいいお金持ちは「財産よりも資産を活用する」

 

①争族対策:エンディングノート・遺言など手段は問わず「あらかじめ遺族が争わなくてもいいように生前に意思を明らかにしておくこと」

 

②資産活用の伝授:預金・債券・株式・不動産など、財産をそのまま遺すと財産の取り崩しをしてしまうので、その財産から得られる利子・配当・不動産所得という「インカム・ゲイン」の教育をこやま後にしておくこと。名義が引き継げる所得の伝承を行う。

 

③相続税を抑える:俗にいう節税。税理士など専門家のアドバイスを活用しながら、生前贈与などを活用するが、中には効果のない対策を提案されることもあるので慎重な対策が必要。

 

④相続時納税対策:保険などを活用して納税資金を準備するが、保険の掛けすぎで、逆に相続財産を増やすことになりかねないので慎重な対応が必要。

 

⑤相続発生後納税対策:相続税を引き継いだ資産から産まれる所得で納税する。

 

 

⬜︎「終身保険で相続対策」はあまり得策ではない

 

「相続時に現金がないと、納税に困ります」というのは、一度限りの相続のほんの一瞬の時点のわずか一つの手段で、「資産を継承」するのではなく、「納税」にのみフォーカスしているのです。

この考え方だと、確かに相続税相当額を保険で準備しましょうという提案になります。

 

しかしながら、「法定相続人数×500万円」を超える保険は逆に相続財産の増加になることと、相続発生が不明なため終身保険を活用する羽目になり、長生きすると莫大な保険料が財産を減少させる結果となるので、あまりお勧めできません。

 

 

⬜︎「相続できる所得」の活用

 

財産という形態で相続を考えず、「継続的所得の引継ぎ」という角度で相続への備えを考えると、

 

給与所得や雑所得(年金)は継続的所得ですが、一代で終わります。

しかし、利子・配当・不動産所得さらに、事業を引き継ぐことは可能です。

それらインカム・ゲインにより、相続税の分納を行えば、財産を減らすことなく次世代に遺すことが可能です。もっといえば、次世代ばかりか、その次の代にも永遠に引き継ぐことすら可能です。

 

このように、所得には継承できるものと、そうでないものが存在します。

できる限り継承できる所得を子々孫々に受け継ぐことができれば、その家系は代々豊かさを増していくでしょう。


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