ブチブチッ


左足に伝わる嫌な感覚




あっ!?



気がつくと地面に刺さった鉄筋の杭が

彦の左足の長靴を貫通しています




一瞬頭が真っ白になったけれど…

ハッと我に帰って左足を確認すると

鉄筋はギリギリ足を避けて

長靴の左側を貫通していました






これは今朝

裏のお婆ちゃんの畑(家庭菜園程度の広さ)をスコップで起こし作業をやっていた時の事です





毎年春と雪が降る前の秋に2度やる作業



農家さんのように広い畑なら耕運機を使う事も考えるのでしょうが



国民年金で生活する一人暮らしのお婆ちゃんにはそのゆとりもなく

彦が畑起こしを手伝い

その代わりにお婆ちゃんが何かご飯のおかずを作ってくれていました





いつもなら…少しずつ3日程でやる作業を

まず2日前に3分の1終わらせ

今日はまた少しやるつもりでした





天気予報は今朝から1日雨

週間予報も…毎日雨


雨水を吸った土は重く

腰への負担は当社比(彦の体基準)3倍程?に感じます




その前に…少しでもやってしまいたい




早朝軽く雨が降った跡があったものの

姫ちゃんがデイサービスに行く頃には晴れ間も見え


少しでもやろう!と畑作業を始めました




ところが…20分もたたないうちにお日様は雲に隠れ

次第にどんより黒く厚い雲が移動してきました




まずいっ

あの雲…きたらどしゃ降りになるな



いつもより早い早いピッチを更に早巻きにします




映画の1.5倍再生くらいでしょうか?

結構腰もキツイ!

だけど…何とか雨が降りだす前に目処がたちそうです




うわ~腰ヤバッ

これもう限界だなと感じながら

ラストスパート



ここで大粒の雨が音をたてながら降り注いできました




少し雨で濡れるも何とか終了

さて引き上げるぞ!と思ったとき


そのまま起こした畑を歩いて行けば近道だったものの

何となく…せっかくフワフワにした土を踏み固めるのに気が引け回り道




これが残念な結果を呼んでしまいました





疲れと焦りもあって

畑脇を板で土止めをしている鉄筋の杭に

足を乗せてしまいました




ブチブチッ



何かが裂けるような嫌な感覚が左足に伝わります




動かない左足へ目を向けると

先の尖った鉄筋が彦の長靴を貫通していました





一瞬思った彦の感情




何で…人の為に働いたのに

俺がこんな嫌(損)な想いをしなきゃいけないんだ!!

この長靴今年新しく買ったばかりなのに

ふざけんなっ!!


こんな事やらなきゃ良かった!!



短気な彦は

一瞬そんな感情に呑まれかけました






丁度不燃ゴミの回収日という事もあり

長靴を脱いでゴミ袋へ入れます




うわぁ~

改めて見ると…


よくこれで足に怪我無かったなぁ



少しでも鉄筋が足かすめていたら…

ざっくり切れて大怪我になるところだった





そう考えると

新調した長靴がダメになったのは悲しいけれど

足に怪我が無くて良かった



長靴が彦の足を守ってくれたんだね

ありがとう!

そして…さようなら





そう思えたら

「怒り」の感情がいつの間にか

「感謝」の感情に変わっていました





確かに起こった出来事だけを見れば

人の手伝いをして労働して疲れ

更に新調した長靴を失うという

彦にとっては嬉しくない事の連続でした




だけど…

少し見方の視点を変えてみると




実は一見「不幸」に見える事が

自分の受け取りかた一つで「幸せ」に変化する事が出来ます




以前のように

これは…こうあるべきだ!と四角四面に固定観念ガチガチ頭の彦ならば



自分が人の為に働いたなら

自分に何かしらの得(見返り)があるべきだ!と

心の何処かで思っていたのでしょう



だから…自分の思うように物事が進まなければ

腹を立てていたのだと思います






本当にね

どんなに頑張っても努力しても

変える事が出来ないものもたくさんあって



そこに不満ばかり感じていたら…

とてもじゃないけれど

相方の姫ちゃんは生きていけませんよ



半身麻痺になり

日常の当たり前が当たり前でなくなり

それを一緒に彦も見て感じる事で



自分も少しずつ 

自分の思うように行かぬ事の中にも

感謝出来る事があるのだと

学ばせてもらえています




今日もお付き合いありがとうございました