どうして、おばさまが
我が家に来ることになったのか
その理由。 3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
突然、おばさまの旦那様が亡くなった。
ひとりになってしまったおばさま。
そして、父は独立しようと動きだした。
そのとき、A家の甥が先に逃げた。
残された、おばさま家の家業。
残された父。
A家の一族は、身内がいなくなったとばかりに
財産分与だけして手をひいたと聞いている。
仕方なく残った家業を廃業するわけもいかず、
父は跡をついだ。
社員として、
社長はおばさま。
現場にでたことなのないおばさまが社長。
それでも父は真面目に働き、
一人になってしまったおばさまを助けた。
大きな家に住むおばさまを案じ、
わたしたち姉弟を、泊まりにいかせたりしていた。
あるとき、父が家を建てた。
子どもたちに約束した家を。
とてもうれしかった。
そんな、父が私は自慢だった。
頼もしくて、やさしくて、時に怖いけど
それは父としての強さであったのだと今はわかる。
胸ときめく、新しい私たちの新居。
その設計図には、おばさまの部屋があった。
来るかもわからない部屋が。
家が建って20年経っても、
その部屋は空いたままだった。
いつしかその部屋は、物置になっていた。
そして、父が亡くなった。