椿咲く頃

例年のごとく師走になってから、
庭の椿が咲き始めた。

前年と違い薄紅から濃い紅色の花が目立つ。

この八重椿は父が殊の外愛した花である。

当初植えた時は淡いピンクの花びらだったのが、
いつの間にか紅い色に変わってきた。

紫陽花なら土壌により色が変わるのは理解できるとしても、
椿の花である。

思いつくとしたら、父はよく日切り焼きを食べながら庭に立っていた。

糖尿病を患っていたため糖分を控える意識からあんこを全部食べず、
半分程は庭に棄てていた。

その甘い養分の影響で濃い花になったのだろうか・・・

あれこれ想いを巡らせていると、
「あんこ椿は恋の花」のメロディーを流しながら竿竹売りがやってきた。

by 吉良星

　

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