すれ違い×年下男子
〜前編〜
2人の記念日の前日。
雨の中、彼の部屋に向かう。
驚かせたくて、ずっと通ってた料理教室で
教わったケーキを持っていく。
でも、インターフォンから出てきたのは、知らない女性。
「えっ?」
後ろから上裸の壱馬が来る。
『そんな格好じゃだめじゃないですか、、え?◯◯っ?』
《誰?壱馬くんの知り合い?》
『あ、えっと、、』
「、、、っ」
涙を堪えて、、我慢して、、。
「た、、宅配、、便です。
素敵な、、時間、、過ごしてください、、」
私はその女性にケーキを渡してそのまま逃げ出した。
土砂降りの中、傘を刺さずにひたすら歩き続けた。
何も考えたくなくて、ただ歩き続け気づけば
あの人のところにいた。
【はーい、、ってえっ?◯◯?】
「、、敬浩さん、っ」
私は、濡れたまま何も言わずに敬浩さんに抱きつく。
本当の妹のように可愛がってくれる敬浩さんは、
何も聞かず部屋に入れてくれた。
【風呂、沸いてるから入ってこい。】
「、、、」
【全部洗い流せば、少しは楽になるだろう?話はその後。】
「、、はい。」
温かいシャワーを浴びてると堪えてた涙が流れ落ちる。
拭いても拭いても止まらない涙。
でも、、辛いことされたはずなのに、
頭によぎるのは壱馬の顔ばかり。
【サッパリしたか?】
「、、、少しだけ。すみません、勝手に押しかけて、、。」
【いいよ、。はい、ココア。】
「ありがとうございます、、」
優しくてあったかい気持ちになれるいつもの甘いココア。
【言いたくなかったら、聞かない。
でも、俺はいつでも◯◯の味方だから。
お兄ちゃんがそばにいるから笑】
それから、ゆっくり今日のこと話していく。
話があるって言ってたのはきっと別れ話。
「私のこと、、もう飽きちゃったんです、、。
年も離れてるし、壱馬の周りはかわいい人いっぱいいるし。
さっきだって、すごいきれいな人と一緒だった。
私が2人を邪魔しちゃってたんです、、。」
【、、壱馬にはちゃんと聞いたのか?】
「、、怖くて、、そのまま逃げてきました。」
すると、敬浩さんの携帯が鳴る。
表示されてたのは、“壱馬”。
【もしもし、、】
『あ、あのっ。◯◯そっちに来てませんかっ?』
【何、どうしたの?】
『その、、喧嘩っていうか、、誤解されて、、』
【◯◯は、、来てないよ。】
『そ、そう、、ですか。すみません、こんな時間に、、』
【なんかあったら、連絡するわ。】
『よ、よろしくお願いしますっ』
2人の会話は、スピーカーにしてたから聞こえてた。
【◯◯、明日からEXILEの方で仕事して。】
「え?」
【お互い少し距離置けば、
色々気付けることもあるんじゃないの?
俺らのマネージャーに伝えておくから。
明日から⭐︎⭐︎のところに泊まれよ。】
「すみません、、何から何まで、、」
それから、私はRAMPAGEのマネージャーを一旦離れて、
EXILEのマネージャーのサポートに回っていた。
携帯には壱馬から毎日何度もかかってくる。
彼から離れようとしても、同じ会社内にいれば見かける。
気づかれないように、メンバーの影に隠れて、、。
でも、いつも壱馬のことを目で追うばかり。
すると、RAMPAGEの近くにあの時の女性。
「あ、、」
雑誌の編集者とかで、密着してたみたい。
【◯◯?いくぞ?】
「え、?あ、、はい」
それから、1ヶ月くらい会わないでいると、
北人くんから電話がかかってきた。
「珍しいね、北人くんからなんて」
〔◯◯ちゃんいつ俺たちのところ戻ってくるの?〕
「え、、?えっと。」
〔戻らないとか言わないよね?
そうじゃないと、、壱馬が、、っ〕
「えっ?」
〔このままじゃ、、壱馬が壊れちゃうよっ〕
泣きながら私に電話してくる北人くん。
あの日からご飯もろくに食べず、ひたすら仕事をしてると。
休みの日もずっと私を探してるって。
〔壱馬には、◯◯ちゃんがいないとだめなのっ。
お願い、、お願いだからっ〕
「、、わかった。会うから。もう少し待って」
〔、、うん。〕
...⭐︎
携帯を見ると数百件にもなる壱馬からの着信履歴。
ちゃんと向き合わないといけないのはわかってるけど
やっぱり怖くて手が動けずにいた。
そう思いながら歩いてると、
後ろから誰かに口を押さえられる。
「んっ、んんっ!?」
抵抗できないまま、そのまま気絶した。
起きた場所は、人の気配を感じられない。
目隠しされ手足を拘束され動けなくて、
耳から聞こえるのは水音と軋む音。
怖くて、、つらくて、、不安で、、。
もうこのまま壱馬と会えないの、、?
「かずまっ、、助けて、、」
...⭐︎
その頃、壱馬の携帯に電話がかかってきていた。
それは◯◯からの着信。
『もしもしっ、◯◯っ!?』
〈カワムラカズマカ?〉
不気味な機械音で変えられた声。
『お前誰だよっ、』
〈オマエノダイジナヒトアズカッタ。
タスケテホシケレバ、イムカライウトコロニコイ〉
『はぁ!?何言ってっ、』
〈コナキャ、、コウカイスル。イイノカ?〉
『行くっ、、行くからっ!どこ行けばいいっ?』
〈ダイヨンソウコ。チカノヘヤ。、、ブチッ〉
『あ、おいっ!』
切れた電話。
〔壱馬ー、次レコーディングっ、、〕
陸の声も届かないまま走りだしていた。
急いで指定された場所に向かう壱馬。
そこは薄暗くて、冷たい風が吹く。
『◯◯っー!!』
声が枯れるくらいの声で叫んでも◯◯の声はしない。
地下へ向かう階段を降り、扉が少し開いている部屋があった。
そのまま入ると、縄で拘束された◯◯が倒れてた。
『◯◯っ!!』
目隠しを取り、冷たくなった身体を抱きしめる。
『頼む、起きてっ、、起きてくれよっ、、っ』
身体を摩り、何度も呼びかけるとゆっくり目を開いた。
「かず、、ま?」
目を覚したと同時に開かれてた勢いよく扉が閉まる。
2人で閉じ込められてしまった、、。
to be continue...