職業×年下男子
〜消防士番外編《同僚編》〜
海青くんからの突然の告白。
ざわついた気持ちのまま、残っていたお酒を飲む。
静かだと思い隣を見れば、
彼はお酒に潰れてテーブルで寝てしまった。
大柄の彼を担ぐほどの力はない。
すると、彼の携帯が鳴る。
見えた文字は《川村壱馬》、私はそのまま電話を出た。
『もしもし?海青?お前どこおるん、、?』
「あ、あのっ」
『え、、誰?』
「あ、あのっ、、わたしっ◯◯です。」
『あ、え?◯◯、、って、、え、どうして?』
「ちょっと一緒に飲んでて、、。
それで海青くん、寝ちゃって、、」
『なんかよう分からんけど、
とりあえず今から迎えに行くから、場所教えて』
「は、はい」
それから15分ほどで川村くんが迎えに来てくれる。
『お待たせ、、って、あー、だいぶ飲んだなこいつ』
「わたしの、せいかも、、」
『まぁいいわ、寮まで連れて行くから、
ちょっと付き合って。』
「えっ、でも、わたし行くんですか?」
『俺こいつだけで精一杯だから、荷物お願いしていい?』
「あ、はい」
川村くんより大きな体の海青くんも軽々持ち上げる。
『重っ、、鍛えすぎなんだよ、ったく、、』
タクシーで寮に着く。
「あ、あのっ、わたしここで、、」
『いいから、そのまま入って。』
「でも、、」
『俺と海青同じ部屋だから。その突き当たり先。
はい、鍵。先行って扉開けといてくれない?』
断れないまま結局二人の部屋まで行くことになった。
部屋に着くと、川村くんはベッドに海青くんを放り投げる。
『あー、疲れた、、まじで、、。』
疲れたのか近くで座り込む川村くん、、。
「そろそろわたしっ帰りますっ、!」
彼の横を通ろうとすると、腕を掴まれる。
『少しくらい休んでったら?疲れたやろ』
「えっ?」
『頼むからもう少しだけここにおって、、。』
「でも、、」
『前、言ったやろ?』
「え?」
『もっと話したいって、、』
「、、、」
『少しでもええから、な?ええやろ?』
かわいい顔して見つめられたら、断れない。
「少しだけ、、ですよ?」
『じゃあ、、ここ座って』
隣に座るよう手招きされたけど、少し離れた場所に座る。
『なんか、飲む?まぁお茶しかないんやけど、、』
「あ、ありがとうございます。」
『緊張しすぎ笑』
「だ、だって、、」
『海青とは、よく呑むん?』
「あ、はい、、。
私が誘って、、来てもらうって感じで。」
『今日もそんな感じなん?』
「あ、、はい」
『だからか、、』
「えっ?」
『俺らの誘い断ったから』
「え、あ、そうだったんですか?ごめんなさい、」
『まぁ、ええよ。ってか、その敬語なんとかならんの?』
「え?」
『俺やって、年下やし、、。』
「でも、、」
『あ、あと。海青みたいに俺も名前で呼んで?』
「え、えっ。」
『かずま、、言って?』
「え、えっと、、」
『ほら、、早く』
「か、かずま、、くん」
『名前だけが良かったんやけど、今日のところは許したる笑』
頭をそっと撫でられ、一気に顔が赤くなる。
『真っ赤やで笑相変わらずかわいい反応やな笑』
「そ、そんなことっ、ないって//」
『なぁ、あいつとどんな話したん?』
「え?」
『二人きりでなんて気になるやん』
「別に大したこと話してないよ?
ただの世間話とか、私の話聞いてくれてたりとか、、。」
『今日はそれだけやないやろ?』
「えっ//」
見透かされてるようでドキドキする。
『あいついつも潰れるまで飲まへんし、、
なんかあったんちゃうん?』
「っ、、」
『ほら、、白状せえ、、』
「っ//」
だんだんと近づいてくる壱馬くん。
今にもキスされそうな距離、、。
「、、っこ、告白されて、、。でも、それだけ。」
『それだけってなんやねん。』
「、、とにかく、それ以上のことなんもない」
『陸さんから奪いたいとか言われんかった?』
「そんなことしないよ、、海青くん優しいもん。
自分の気持ちに蓋するって、、。」
『俺ならそんなことしない。』
「えっ?」
『欲しいなら奪う、、ただそれだけ。』
「え、どういう、、」
『俺も◯◯のこと好きやから。』
彼の真剣な目に逸らさず、スローモーションのように
ゆっくり唇が重なり合った。
「かずまっ、、んんっ//」
離そうと身体を押してもびくともしない。
それどころか、腰を引き寄せられさらに体が密着する。
「だ、、めっ、、んっ//」
啄むようなキスから、次第に深いキスに変わる。
彼の舌が絡み合い、口内を犯されていく。
陸くんともこんなようなキスしたことない。
はじめてのはずなのに、全てを知ってるかのようなキス。
『◯◯、、、。陸さんやなくて、、俺だけ見て』
「、、、」
頭では止めないとって、
こんなことダメだって分かってるのに、彼から逃れられない。
『◯◯、、好きや、、。』
息のできないほど、深く、深く、、。
もっと、もっと、、って求めてしまう。
すると、酔っ払ってたはずの海青くんが起きる。
《んー、、あれ?俺》
『、、、』
何やってんだろ、、私どうかしてる。
冷静さを取り戻し、その場を逃げるように飛び出す。
「か、帰ります」
大きく動く心臓の音を抑えようと、
急いで部屋から逃げるように出れば
すぐに壱馬くんが追いかけ捕まる。
『待てって。』
「、、、」
『送ってくから』
「だ、大丈夫だからっ」
『こんな時間危ないから、言うこと聞け』
手を掬って自然と繋がれ、断れないまま寮を後にする。
電車の中も、夜道も何か話すわけでもなく、
静かな時間が流れてあっという間にマンションの前に着く。
「遠いのに、、ありがとう。」
『、、、おう。』
一向に手を離してくれない壱馬くん。
「かずまくん?」
『、、、トイレ借りてええ?』
「え?あ、、うん。」
陸くん以外の男性を部屋にあげたのは初めて。
そんなこと思って部屋に彼を上げてしまう。
「トイレは、、」
靴を脱いで部屋に入ろうとすると、
腕を掴まれ扉に押し付けられる。
「か、かずま、、くん?」
『あんなの、、嘘やって分かってたやろ?』
「、、、」
『こうなること、、予想してたんやないの?』
「そんなこと、、ないよ//」
低くて甘い声が耳元で囁かれる。
『◯◯、、』
「待って//」
『待たへん、、。
あんなので、終わりなわけないやろ?
俺以外何も考えんな、、。俺だけ、、見てろ。』
「、、んっ//」
彼の両手と私の両手が絡みあって動けない、、。
また、激しく甘いキスが響き渡る。
もう、彼のことで頭がいっぱいになり何も考えられない。
毒蜘蛛の巣にかかったように、
もう彼から逃げられない、、。
お酒の余韻でなく、彼の魅力に酔いしれていく。
《同僚編》...end