自分が、いったいぜんたい何をしたいのか分からない。
好きなことを仕事にすれば良いと言われても、自分はどのようなことが好きなのか分からない。分からないのだから、始めようがない。
こういった子ども達の本音を私はたくさん聴いてきました。
 こんにちは、私は小学校の保健室の先生として35年、定年退職後も不登校の子ども達に関わる仕事をしています。現役の時から子ども達の様々なことや物への依存症には危機感を持ち、依存症への対処法を含む実用書「保健室の先生だけが知っている子育て」という書籍を2冊目として商業出版させて頂きました。拙著では、子どもが、先生方や親から熱中症予防の為にも「水を飲みなさい」と言われて、水筒の水を飲み過ぎ【水中毒】になりかけたエピソードやスマホ依存症への対処法も紹介させて頂きましたので、ご一読いただければ、幸いです。
*水中毒とは、塩分を含まない真水を大量に飲んで低ナトリウム血症になり、筋肉や神経の働きに異常が生じる現象です。
 
 さて、では何故多くの子ども達が、自分が何をしてどのように生きていけば良いのか分からないのでしょうか。
それは、経験や体験が、非常に少ないからではないでしょうか。
私が、本書の中で最も惹かれた名言は、【19歳までに100回失敗しろ!】です。
私は、名言に共感し、子ども達には、何でもまずやってみてから、その時の自分の出来そうだという手ごたえや楽しいかどうか等を味わって欲しいなぁと思いました。著者は、失敗した後のフォローを「ただし、必ずフィードバックをして、失敗を経験に変えるのです」と伝えています。本当にそう願います。経験値を増やした後で、自分はコレが好きで、これならば楽しみながら継続できるのだというものを見つけ出して欲しいです。
 また、著者は、「コントロールは自信と幸せの源」とも言います。コントロール力は、心理学でいう自己効力感と深く結びついているそうです。この感覚が高まれば、失敗を恐れずに新しいことにチャレンジすることに繋がります。コントロール力を高めるには、小さなブレーキを踏むことや、ルールを決めて制限することを繰り返しやってみることです。
 
 繰り返しになりますが、多くの子ども達は、自分が何をしてどのように生きていけば良いのか分からないでいます。そういった子ども達へ向けて本書では、自力で「答え」をみつける力、それこそが「生きる力」であると言い、【整えて、つながり、行動する】のが生き方の正解であるとします。そうだと思います。コロナ前から文科省では、子ども達に「生きる力」を身につけさせたいと訴えてきました。
それは、自分で考え、自分で情報を取りに行き、仲間を作って行動に移すことなのです。そのために、不可欠の7つの武器について本書で詳しく学ぶことができました。
 
 私には二人の息子がいます。今は、二人とも独立していますが、大学生の頃には、ご多分に洩れず、二人とも自分の将来の生き方に悩んでいました。当時、19歳を超えていますから、私としては、失敗してもよいから何でもやってみて!ともアドバイス出来ず、本書の著者でもある樺沢紫苑氏の著書「ブレインメンタル強化大全」「毎日を楽しめる人の考え方」「これからの生き方図鑑」「3つの幸福」「幸せの授業」などなどを親子でシェアして読書したり、出版記念講演会に参加したりしてきました。その読書の効果は、絶大であり親子で本の内容をヒントにして、これから先はお互いに何か楽しみを持ちながら笑顔で生きていこうよと話し合うことが出来たのです。めっちゃうれしい体験です。閉塞感の漂う時代にお年頃の子どもを抱えて、会話することさえ難しいご両親は、たーくさんいらっしゃいます。
 私自身の経験からも、十代のお子さんだけでなく、ぜひぜひ親子で、本書や樺沢紫苑氏の実用書やビジネス書などの本をシェアして読書し、感想を話し合う時間を共有されることをお勧めします。きっと、あたたかな心の交流が出来て、家族の絆も深まることでしょう。