菜々子を14年間ずっと
見てくれていたM先生...
先生も大病を患っていると
ブログでも書かせていただいてました

2014年の秋頃に体調を悪くされ
先生の入院と同時に動物病院も閉め
先生がいない時は隣町の病院へ
菜々子を連れて通っていましたが
最終的にはM先生の元へ戻り
最期までお世話になりました。
M先生は病気を患ってから
動物病院自体は閉めていましたが
どうしても先生に見てほしい...と
頼ってくる動物達は見てくれていたようです

いつもお金をもらうのを断り
「お金のためにやってんじゃないから」
と料金を受け取ってもらえないことも。
「どうしても!」と言うと
「じゃ1000円😆!」
なんておどけて
少額のお金しか受け取りませんでした。
(動物病院をやっている頃でなく
動物病院を閉めてからの話)

お金をなかなか受け取ってくれないので
お菓子など持っていくと
すっごく申し訳なさそうにして
「気使わないでいいのに~😨」と...。
とにかく人のお世話になることや
誰かに迷惑をかけることを嫌い
見返りを求めずまっすぐに動物に向き合う
そんな獣医さんでした。

菜々子の最期の時も
亡くなってすぐに家に来て
菜々子にお花を手向け...
ちょっとだけ開いて閉じなかった
菜々子の目を手でそっと閉じて
「うんうん」と言いながら
菜々子を撫でてくれました。
そして続けて
「3日前に俺のところに連れてきた時
もうもたないな...って思ったんだ
それでも菜々子は頑張ったよ」と。

「元々は動物用の棺とかも
用意してあったんだけどさ
動物病院を閉めるときに
そういうの全部処分しちゃってね...
取っておけばよかったな~
ごめんな菜々子持ってきてやれなくて」

こうも言ってくれた先生。
そのお気持ちが嬉しいです
菜々子は先生に見てもらえてよかった...
先生がいなかったらもっともっと
苦しめていたと思う...と伝えると
やはり先生は
「いやいや!何もしてやれなくてね...」
と菜々子を見ながら言いました...

そして帰る先生を見送った
私がM先生に会ったのは
その日が最後でした。
去年の5月20日のことでした。

母はそれ以降も
自分の職場のお店で
先生に会うことがたまにあったそうですが
お店に来るたび痩せていく先生を見て
つらい気持ちになったと言います。

母が最後に先生に会ったのは
先月...4月の初めのことでした。
元々の先生より体半分ほど痩せ
顔はこけ一回りも二回りも小さく見えたと...
その時に交わした会話
母が先生に
「先生お体 大丈夫ですか?
菜々子ね 来月で一周忌なんですよ...」
と言うと辛そうに
「もうね、本当しんどいです...
菜々子一周忌ですかあ 早いなあ...
なんて俺もそんなふうに言われるように
なるんだろうなあ...」
と言っていたと聞きました。

その日からあまり日をおかずに
M先生は自宅で亡くなられたようです。
診療室で亡くなっていたと...

動物病院へ行くと
いつも診療室の椅子に座って
小さくBGMを流し資料を作ったり
作業をされていたM先生。
動物病院を閉めたあと、
元々 診療室として使っていた部屋は
半分物置となっていましたが
それでもいつもの先生のデスクは
いつも通りの場所にあり
いつも通りBGMも流れていて
先生はいつもそこに座っていた。

先生が亡くなったのは4月ですが
私達がそれを知ったのは
つい最近のことでした。

M先生は亡くなる前から
『俺が死んでも通夜も葬式もやらないで
火葬した骨も残さず撒いてほしい
戒名もいらないから...』
と御家族に遺言を残していたようです。
なので私達も先生が亡くなったことを
先生の親しいお知り合いの方に聞くまで
知ることができませんでした。

そして今日やっと...
先生の家、動物病院へ
ご挨拶に行けました。

先生の祭壇は診療室にありました。
先生のいつもの場所にありました。
お骨はまだ撒かれておらず
骨箱の上に先生の愛用していたメガネが
まるで先生がかけているように置いてあり
先生が生前 自分で用意したであろう
まるで免許証の写真のように
キリッと写った遺影...

動物病院の診療室だった場所は
ソファーやテーブルが置かれ
ひとつのお部屋になっていました。
先生のデスクだけは...
以前と変わらず同じ場所にあり
おそらく先生は診療室で
生活していたのでしょう。
最後は診療室で亡くなったと聞き
ああきっと先生は最後まで
この部屋にいたかったんだ
動物病院を閉めたくなかったんだ...
たくさんの思いが溢れ
母も私も泣きました。
祭壇のすぐ横にある先生のデスク...
まるで先生が今も座っているようで
何度も見てしまいました。
先生がいつも使っていた聴診器が
棚からぶら下がっていて...
まだ解約されていない先生の携帯が
誰かからの着信かデスクの上で
ピロピロと鳴っていました

先生 菜々子を見てくれてありがとう
先生 誰にも迷惑かけずに亡くなって...
亡くなったことも知らせないで
先生らしいけれど 寂しいね
先生...ちゃんとお別れしたかった...
先生もしも菜々子が天国で
ケガをしているのを見かけたら
菜々子を見てやってくださいね...
先生のことだからきっと
天国中の動物達のことを
見守ってくれるんでしょうね.......

色々なことを考えながら
先生に手を合わせ
「先生またね」
と祭壇に声をかけ帰りました。
先生の大好きだったスイーツや
いつも飲んでいたコーヒーを
お供えさせていただいてきました。
きっと先生のことだから
「も~いいのに気を使わないで~!」
と言っていると思います。

家に帰ってから菜々子の仏壇に
「菜々子、先生が天国にいったよ
具合が悪くなったら見てもらってね」
と話しかけました。

菜々子を動物病院に連れていくと
昔からいつも決まって
「菜々子はほんと美形だよね」
と褒めてくれたM先生。
菜々子が年をとってからも
「菜々子ほんっと可愛い顔!
ばあちゃんになっても可愛いな~😆」
と行くたびに褒めてくれた。

先生 死にたくなかったでしょう
もっともっと動物病院の先生として
動物達を助けたかったよね
いろんな思いがこみ上げ
先生との数年間の思い出がよみがえり
しばらくは思い出すと泣きそうです。

今も診療室のデスクにいるのかもしれない。
病気で闘っていた先生の
唯一の癒しの空間だったのだと思う
デスクに座っていつも
先生は何を考えていたのだろう...

病気は残酷...
みんなみんな老衰で
静かに見守られて死ねればいいのに...
動物にとっても
人間にとっても
病気なんて消えてしまえばいい。
菜々子も先生も奪っていった
「病気」の存在がかなり憎いです。

M先生 安らかに...
本当に本当にお世話になりました
いつか...天国で会いましょうね
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