夫が亡くなって以来、困った時、辛い時、これさえ乗り切れば、その先には、きっと平穏で幸せな日が待っている。そう信じていた。
しかし、それはいつもことごとく裏切られる。
その先には、別の何かが必ず起こる❗
じつは、「忘れられない街」の続きを書くつもりでいたのです。
でも、マイルドな思い出を綴るより、現在進行形の強烈な生の愚痴を言いたくなるのです。
自宅へ戻る今度の引越当日は、ウイークデーだった。子供は仕事が休めず、娘婿が休んでくれることになった。
しかし、しかし、その直前、娘婿の親戚に不幸があって、さらに引越当日が葬儀になった。
こういうことはお互い様。
これも運命。
一人でやるさ❗
仮住まいから荷物を送り出し、
自宅へ電車移動し、荷物を受けとる。
自分でボールを投げ、ボールより早く走り、またボールを取る。
仮住まいから自宅へ帰る引越。
それは、段ボールから出した物を、元通りに納めるだけ。
気楽に考えた。
ギリギリまで作業に取りかかる気になれなかった。
しかし、それが、意外に大変。
前回は、引越前日、梱包作業に4人来てくれた。私はうろうろしていただけで、キッチリ1日で終わった。
しかし、今回は一人。しかも作業はのろい。
当たり前だけど、前日まで使うもの、当日朝まで使うもの。全て梱包できない。
一人では、一人がしたことだけしか進まない。
あーあ。
今回も、ねこ君は前日の夜引越。今回はねこ君だけ。私は仮住まいに帰る。
夜8時過ぎ、改装終わった我が家に着く。
翌日の引越時、玄関は開けっ放し。ねこ君が脱走しないよう、またたくさんの作業員が出入りするので、ねこ部屋設置。
手順は想定ずみ。
だけど、玄関から一歩入ってハッとした。
新築時のあの匂い。
シックハウス症候群
そんな言葉が頭をよぎる。
私にさえわかるこの匂い。
嗅覚鋭敏なねこ君は、大丈夫なのか?
後ろ髪を引かれる思いで準備を済ませ、家を出る。
駅の改札を入る。
時計は9時を回っている。
ねこ君が、私を呼んで鳴いているような気がした。
改装で、今までとは似ても似つかぬ我が家。自宅とは気がつかないだろう。
一人っきり。
あの匂い。
「イキガデキナイヨー😺」
明朝早起きして様子を見に来ようか?
そんな時間はない。9時には引越業者が来る。
最後の荷造りもある。
明日来るなら往復の時間がかかるけど、今ならすぐ行ける。
意を決して改札を出た。スイカは0円。
急いで、自宅に戻る。
30分ほどいて、また家を後にした。
今は、24時間換気という機能があるから大丈夫。
その言葉を信じるしかなかった。
遅い夕食と翌朝の御飯を買って仮住まいに戻る。
時計の針は、もう11時近かった。