6月3日、ひまりが生まれた日。
この日は何もかも特別な一日。
1歳の時も、2歳の時も、3歳になったこの日も、私はやっぱり母子手帳を見直した。
6月1日の深夜から陣痛が始まり、生まれたのは6月3日の早朝5時27分。
生まれた時間を覚えている。
生まれる直前のこともよく覚えている。
生まれた直後のこともよく覚えている。
長い陣痛のなか、「自分のタイミングで頑張って生まれてきて」とお腹のなかのひまりに何度も話しかけた。
夫(有希)がずっと付き添って、腰をなでたり押したりしてくれていたから出産は1人で乗り越えるものじゃなかった。
病院に行っても陣痛時間がなかなか縮まらず、2度も家に帰された。
そのとき、そばにお母さんが付き添っていてくれたから笑っていられた。
ひまりが生まれる3時間前、もう2~3分単位で押し寄せる陣痛の波を乗り越えるために、夜中に産院でお風呂に入ったり、よもぎ蒸しをして、なんとか痛みをのがそうとした。
助産師さんが腰にそっと手を当ててくれると嘘のように痛みがひいた。
いよいよ自然にいきんでしまうくらいに陣痛が強くなったとき、先生が来てくれて心から安心した。
初めて自分の力で陣痛に合わせていきんだときの痛みが強すぎて驚いた。
もうこれは、次にいきんだ時に絶対産むぞって思った。
痛かったけれど、隣で有希が手を握っていてくれていることや先生の的確な指示が心強かった。
痛くても、周りのことは驚くほどよく見えていた。
いきむこと7回、深呼吸すること3回、ひまりが生まれてきた。
小さな泣き声、血だらけの赤ちゃん、私の赤ちゃん!!
私が胎盤を苦しみながら押し出しているあいだ、ひまりは体を洗われて、清潔な布の服を着せてもらっていた。
全て終わりほっとした私の胸の上に小さな赤ちゃんのひまりがのせられた。
嬉しくて嬉しくて、初めて言葉をかけた。
「生まれてきてくれてありがとう。おはよう、ひまり」
ひまりは温かかった。
少しの間くたっとしてたけれど、すぐに口をパクパクさせながら、私の胸に必死でしがみついてきた。
生まれたばかりなのに、本能でおっぱいに吸い付くひまりの頭に手を添えた。
体がすぐに反応してお乳が出た。
人間ってすごい!
女性の体ってすごい!!
有希も先生も笑顔だった。
出産の時に途方もなく力強いエネルギーを体の奥から感じた。
私の周りにもそのエネルギーは渦巻いて、みんなでひとつになって出産をした。
実際にお腹を痛めることのない有希も先生も。
だから、出産は私にとって共同作業だった。
あのエネルギーは多分、人が生まれるときにしか引き出すことができないような気がする。
新しい命が生まれる瞬間の強烈な昂揚感を私はまだ思い出すことができる。
ものすごく大変で、ものすごく一生懸命で、ものすごく楽しかった。
その楽しみの果てに生まれたのがひまり、あなたなのだ。
私は出産の瞬間を味わえただけでひまりを産んで良かった。
だけれど、ひまりは今も私のそばで元気に笑ってくれている。
これ以上の幸福を今の私は想像できない。
ひまり、3歳まで私と一緒にいてくれてありがとう。
3歳まで、私と一緒にひまりを育ててくれたすべての人に、ありがとうございます。
有希とひまりとこれからもずっと仲の良い家族でいられますように。








