ひまりの腕が折れて2週間が経った。


ギブスを巻き直しに病院へ。

またレントゲンで大泣きするかと思いきや、案外へっちゃらのひまりに安心した。


診察室でレントゲン写真を見るとうっすらと新しい骨らしきものが写っていた。

「このままくっつけば、たぶん後遺症はないと思います」

とお医者さんに言われ、ドキっとした。


骨折、後遺症の可能性もあるのだ。

考えてもいなかった。

小さい頃の怪我が原因で、子どもが一生それを背負うことになる。


それは本当に怖い。

大きくなって子どもはそれをどう思うだろう。

そんな子どもをずっと見ていく母親と父親の気持ちはどうだろう。


今回、ひまりは幸いにも左腕の骨折だけだった。

でも一歩間違えれば、後遺症の残る大怪我になることだってあることがわかった。

気を引き締め直して、もう少しだけ、ひまりの生活に寄り添っていこう。



「それではギブスを巻き直しましょう」

モーターの回転の音が響く。

ギブスを切るための機械は、チェーンソーの小さいバージョンのような形で、大人でも腕が傷つきそうで怖い。


ひまりは「イヤ~」と叫び声をあげ涙をぼろぼろと流す。

ギブスに切れ目が入ると機械の音が止まる。

今度は大きなハサミでジョキジョキ包帯と綿を切っていく。

包帯が全部取れると2週間ギブスの中にあった真っ赤な腕が見えた。

擦れて肘の内側に血が滲んでいる。

タオルで軽く拭いてもらう。

ひまりはずっと悲鳴を上げて泣き続けている。


ギブスを巻きなおすとき、今まで曲がっていた腕をまた引っ張る。

骨をまっすぐにして巻くために。

痛いのだろう。

ひまりはますます大声で泣く。

「大丈夫、大丈夫、大丈夫」

頭を撫でながら何度もかける声は、自分に向かってなのかひまりに向かってなのか。


ギブスが巻き終わり、先生が処置室から出て行ってもしばらくひまりは泣いていた。

痛かったからか、どうしたらいいかわからなくなったのか、悲しくて悲しくて涙が止まらないのだ。


しばらく部屋で待っていると看護師の女性がひまりに動物のシールをくれた。

泣きはらした顔でシールを見て、それを受け取るとひまりの涙が止まった。

「良かったね。もう痛いことはないんだよ」

と言うと、ひまりは「ね~。」とうなづいた。

シールの象を見て「パオーン」と言うと、笑顔で私を見上げた。


巻き直した状態で再びレントゲンを撮ってもう一度診察室へ。

次の巻き直しはまた2週間後だ。


今度もまたひまりは泣くだろう。

今度もまた私は「大丈夫」としか言えないだろう。

それでも、次はもっと良くなっている!

ひまりも私も「大丈夫」。