集英社オンライン編集部ニュース班
2023.09.30

<我孫子・3歳児を布団で巻き窒息死させた疑いで母親が逮捕〉「2時間泣き叫ぶ声」近隣が通報も、夫は「大丈夫なんで!」子ども虐待防止対策室は「命の危険性があるとき」に該当しないと判断

去年2月、千葉県我孫子市の自宅で3歳の長男をしつけと称して布団を巻き付け死なせたとして、千葉県警は9月28日、自称・動画編集業で母親の永沼楓月(ふづき)容疑者(27歳)を傷害致死の疑いで逮捕した。我が子を手にかけた永沼容疑者とその一家について、近隣の住民が証言する。

頻繁に家族で出かけていた普通の若いファミリーだった
昨年2月4日23時25分ごろ、救急に永沼容疑者から「息子が息をしていない」と通報があり、心肺停止状態の3歳の長男、清水奏良(そら)くんを緊急搬送するも、搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、奏良くんは吐いたものを飲みこみ、窒息死した可能性があるとみている。

奏良くんの遺体には目立った外傷がなく、栄養状態も問題なかったとしている。

事件当時、夫は不在で永沼容疑者と奏良くんの2人きりだった。永沼容疑者は掛け布団などで奏良くんを筒状に巻いて拘束。十数分後、隣室にいた永沼容疑者は泣き声が聞こえないことに気づき、119番通報した。

「捜査関係者によると、9月28日に傷害致死の疑いで逮捕された永沼容疑者は『子供が泣き叫ぶのを防ぐため、しつけのために布団を巻き付けた』と容疑を認めており、『言うことを聞かないときは、以前から布団を巻いていた』と常習性があったとみられる供述もしているようです」(全国紙社会部記者)

奏良くんの死亡後、夫とも離婚した永沼容疑者。最悪の結末を迎えた一家だが、この場所に引っ越してきた当初は問題のある家庭ではなかったようだ。アパートの近隣に住む70代の女性はこう話す。

「アパートに家族が引っ越してきたのは、奏良くんがまだ赤ちゃんのころだったから、今から2、3年前くらいかな。お母さんは黒髪っぽいセミロングで素朴で、お父さんも真面目っぽい雰囲気。家族3人で出かける姿もしょっちゅう見ていたし、本当にふつうの若いファミリーという感じでした。まさか虐待や暴力をするような人には見えませんでした……」

チャイムを押しても子供の泣き声が聞こえるだけで無反応
しかし、2021年の夏ごろから一家に徐々に異変が起きる。

「そのころから週2、3回のペースで奏良くんの泣き声が聞こえるようになったんです。しかもぐずるような感じではなく、『ワー! ワー!』と泣き叫ぶような声が2時間近くも続くんです」(同)

虐待を疑った近隣住民は一家の様子を尋ねることもあったという。

「その年の11月ごろに近所の人と一緒にアパートのチャイムを4、5回ほど押したら、ドア越しにお父さんの声で『大丈夫なんで!』と言ってきまして……。『これはマズい』と思って我孫子市の子ども虐待防止対策室に電話して対応してもらうようにお願いしたんですけど、その後も奏良くんの泣き声が止むことはありませんでした。今年1月ごろにも再度アパートのチャイムを押したんですが、ドア越しに鳴き声が聞こえるだけで返答は一切なく……」(同)

事件が起こったのはその2週間後だったという。50代の近隣住民女性もこう話す。

「私はそこまで気にならなかったけど、以前、アパートのすぐ近くに住んでいた人から『(泣き声が)すごくうるさくて困ってるの……』と相談されたことがあります。あまりにもひどかったので虐待されてるんじゃないかと何度か児童相談所に連絡して、直接自宅に行って『大丈夫―?』と声をかけたけど、まったく返答はなかったそうで……。
こんなことになってしまい本当に残念だし、どうにか保護してあげられなかったんですかね」

市の対応はどうなっていたのか。前出の70代女性は話す。

「事件があった翌日に我孫子市の『子ども虐待防止対策室』に電話して『家には行ったんですか?』と聞くと『行ったけどドアを開けてもらえなかった』と言っていました。事件直前まで、毎朝7時半ごろに保育園に向かうためにお父さんと手をつないで車に乗り込む姿を見ていたから『どうにかしてやれなかったのか...』と残念でなりません。

ただ、家族3人で出かける姿は見ていましたが、お母さんと奏良くんが2人で外出するのは一度も見たことはありませんでした。お父さんに懐いている感じで、『あのお母さんは子育て嫌いなのかな?』と思ってました。事件が起きた2ヶ月後には、お父さんは家を出ていったと聞いています」

我孫子市子ども虐待防止対策室の対応は十分だったか
我孫子市の子ども虐待防止対策室に近隣住民から通報があった事実と対応について問い合わせると、以下のような回答があった。

「2021年の11月18日に、近隣住民の方から『男の子が2時間くらい泣いている。市で何かしてほしい』と連絡を受けました。通報を受けた当日午後、そして翌日午前にアパートへ訪問しましたが、どちらも応答はなく、お手紙(連絡票)を差し置きました。

午後になり母親から連絡があり、必要なことについてお答えいただきましたが、その詳細については控えさせていただきます。ただ、『困っていることはあるが、相談しても解決につながらない』といった旨の話をされていて、こちらが介入することに対して迷惑そうな様子でした」

担当者は奏良くんと接触する機会もあったという。

「通報から48時間以内に子どもの安否を確認する必要があるため、同日午後に再度アパートを訪問しましたが、見える範囲でアザや傷といったものは見受けられず、こちらが手を振ると振り返してくれ、目が合うと微笑み返してくれました。

一般的に、お母さんに対して恐怖心をいだいているお子さまは表情が暗い傾向にありますが、そういった様子も見受けられず、送致の判断基準である『身体の危険性が高く、命の危険性があるとき』には該当しないと判断したため、保護には至りませんでした」

事件後、アパートを引き払い実家に帰っていた永沼容疑者。その実家付近で永沼容疑者の姿を目撃していた近隣住民の40代女性は驚きを隠せない。

「今年の春ごろまで、たまに永沼さんとはすれ違うことがあって『こんにちは〜』と元気に挨拶してくれていました。いつも明るいし、どこにでもいる素朴なかわいい女の子と思っていたので、まさか子どもがいて、それを虐待して死なせてしまったとは信じられません……。

それこそ家族で出かけることも多くて、弟さんとお母さん、お父さんと一緒に車に乗り込む姿も見かけたことがあります。『仲睦まじくていい家族だな〜』と思っていたので、本当に驚いています」

母子にいったい何があったのか。真相の解明が待たれる。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について情報を募集しています。下記のメールアドレスかTwitterまで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
我孫子市職員の懲戒処分

登録日:2023年3月20日
更新日:2023年3月20日

下記の内容で職員の懲戒処分を行いましたので、我孫子市職員の懲戒処分等の公表基準に基づき公表します。

事案の概要
 令和4年12月16日(金曜日)午後9時30分頃、JR我孫子駅北口の連絡通路において、本市職員が酒に酔った状態で市民とトラブルになり、当該市民を殴った疑いで、令和5年1月26日(木曜日)に千葉県警我孫子警察署に逮捕されました。
 なお、当該市民とは示談が成立し、令和5年3月9日(木曜日)に不起訴処分となりました。

懲戒処分の内容
所属 職名 年齢 処分内容 処分年月日
企画総務部行政管理課 主任主事 30 減給(10分の1、1月) 令和5年3月20日(月曜日)

市長コメント
 本市職員が暴行罪の疑いで逮捕された件については、全体の奉仕者としてふさわしくない、許されない行為であり、本市に対する信頼を著しく失墜させる重大な事態を引き起こしたことは、極めて遺憾であり、市民の皆様には深くお詫び申し上げます。
 今後は、このような不祥事を二度と起こさないよう、全職員で再発防止に取り組み、皆様からの信頼を一日も早く回復できるよう全力を尽くしてまいります。

令和5年3月20日
我孫子市長 星野 順一郎
NHK NEWS WEB
千葉 我孫子 3歳児死亡 逮捕の母親 子育てに悩み抱えていたか
2023年9月29日 18時24分

千葉県我孫子市で布団を巻いて3歳だった息子を死亡させたとして27歳の母親が逮捕された事件で、母親が逮捕前の調べに子育てに悩みを抱えていたとみられる説明をしていたことが捜査関係者への取材でわかりました。

我孫子市若松の自称・動画編集業、永沼楓月容疑者(27)は去年2月、当時住んでいた市内のアパートの部屋で、息子の清水奏良くん(当時3歳)に布団を巻いて死亡させたとして傷害致死の疑いで逮捕され、29日検察庁に送られました。

警察によりますと調べに対し容疑を認め「しつけのためやった」と供述しているということですが、その後の捜査関係者への取材で逮捕される前の調べに対し「夜泣きがひどく耳をふさぎたくなるほどだった」とか「だだをこねられたこともあった」などと説明していたことが新たにわかりました。

「以前にも布団で巻いたことがある」とも説明しているということで、警察は子育てへの悩みから同じような行為を繰り返していた可能性があるとみて調べています。

現場近くの住民 事件の数か月前 異変に気づき市に連絡
この事件で現場となったアパート近くに住む人が事件の数か月前に異変に気づき我孫子市に連絡していたことがわかりました。

現場となったアパート近くに住む70代の女性によりますと、おととし夏ごろから長時間、子どもの泣き声が聞こえることが頻繁にあったということで、女性は「週に2、3回、2時間ぐらいずっと泣き止まないことがあり気になって10月ごろに一度訪ねて行ってインターホンを押した」と振り返っています。

その際は亡くなった清水奏良くんの父親とみられる男性が「大丈夫です」と応対したということですが、女性は心配だったため市役所に連絡しました。

また、亡くなる2週間ほど前にも近所の他の人と一緒に子どもが泣いている時に、アパートの部屋を訪れてインターホンを押したものの応答はなかったということで女性は「もっと何かをしていれば助かったんじゃないかと思うと後悔が残ります」と話しています。

我孫子市 2か月半前から家庭訪問などの対応にあたるも
今回の事件については、千葉県我孫子市は29日夕方、付近の住民から連絡を受けて、家庭を訪問するなどして対応にあたっていたことを、文書で公表しました。

市によりますと、事件の2か月半前となるおととしの11月18日、近くの住民から「2歳くらいの男の子が2時間くらい泣いている声が聞こえる。何かしてくれるか」という連絡を受けて、その日のうちにアパートの部屋を訪問したということです。

しかし、応答がなかったため、再度訪問することや、何かあれば相談できることなどを伝える連絡票を残したところ、11月19日、母親の永沼楓月容疑者から「困っていることはあるが、相談しても解決につながらない」と連絡があったとしています。

このあと市の職員が再度訪問し、「子どもの安否を確認する必要がある」と母親に伝え、奏良くんの状況を目視で確認しました。

このとき奏良くんは、大き目の服を着ていて、見える範囲で傷やあざはなく、母親に対しても恐怖を感じているような様子も見られず、職員と目が合ってほほ笑むと笑い返し、手を振れば振り返してくれる反応を見せてくれたということです。

そして、集中的な支援の実施が必要と判断し、電話などでの対応を続け、つながらなければ3か月後を目安に再度訪問を検討する方針を決めたとしています。

こうした対応とした理由として、市は母親の警戒心が強かったことを挙げています。

この日以降、市で電話で連絡を続けたもののつながらず、去年2月初めの会議で「2月中に訪問する」との方針を立てましたが、2月4日に事件が起きました。

我孫子市は「泣き声についての連絡の翌日、訪問面接して、親子の様子から、継続して関わっていくべき世帯とは考えていた。事件が起きてしまったことは誠に遺憾であり、未然に防ぐことができなかったのか、関係各所に指導を受けながら再発防止に努める」としています。

我孫子市の星野順一郎市長は「大変痛ましい事件が発生し、このような事態に至ったことは誠に遺憾です。今回の事件を重く受け止め、市としての対応を専門家の意見を聞きながら改めて検証し、各関係機関と連携し、再びこのようなことが起こらないよう、市を挙げて全力で取り組んでいきます」というコメントを発表しました。

柏児童相談所 通報などは受けておらず
この事件について、我孫子市を担当する県の柏児童相談所は、この親子に関する通報などは受けておらず、これまでに対応したことはないとしています。
千葉・我孫子で3歳児を死なせた疑い 母親を傷害致死容疑で逮捕
9/28(木) 21:03配信
毎日新聞

 2022年2月に当時3歳だった長男を暴行し、死なせたとして、千葉県警は28日、母親で自称動画編集業の永沼楓月(ふづき)容疑者(27)=同県我孫子市若松=を傷害致死容疑で逮捕した。永沼容疑者は「子どもが泣き叫んだりするのを防ぐために、言うことを聞かない時にしつけのつもりで布団を巻き付けていた」と容疑を認めている。

 逮捕容疑は22年2月4日午後11時10分ごろ、当時住んでいた同市南新木4のアパートの自宅室内で、長男の清水奏良(そら)ちゃんを布団で巻いて死なせたとしている。永沼容疑者は、奏良ちゃんの頭や体を掛け布団など複数の布団で十数分間、筒状に巻いたという。

 永沼容疑者が119番通報。奏良ちゃんは心肺停止状態で病院に搬送されたが、死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は窒息死で吐いたものを喉に詰まらせたとみられるという。

 現場近くに住む40代男性は「子どもの泣き声や怒鳴り声を聞いたことがあり、1時間以上泣いていることもあったようだ」と話し、現場のアパートに住む別の40代男性は「いつも子どもの泣き声がすごかった。土日はひどい時で一日中泣いていた」と話した。【近森歌音、林帆南】
動画編集業の27歳女、3歳長男に布団巻きつけ死亡させる…「泣き叫ぶのを防ぐため」
9/28(木) 21:04配信
読売新聞オンライン

 3歳の長男に布団を巻きつけ死亡させたとして、千葉県警は28日、同県我孫子市若松、母親で自称動画編集業永沼楓月(ふづき)容疑者(27)を傷害致死の疑いで逮捕した。

 発表では、永沼容疑者は昨年2月4日午後11時10分頃、同市南新木のアパート室内で、長男の清水奏良(そら)ちゃんに布団を巻いて十数分間放置し、死亡させた疑い。「言うことを聞かない時は、泣き叫ぶのを防ぐために巻きつけていた」と容疑を認めているという。

 永沼容疑者は同日午後11時25分頃、奏良ちゃんの声が聞こえなくなったため119番したが、搬送先の病院で死亡が確認された。嘔吐(おうと)物を吸い込み、窒息死した可能性があるという。