NHK NEWS WEB
千葉 我孫子 3歳児死亡 逮捕の母親 子育てに悩み抱えていたか
2023年9月29日 18時24分

千葉県我孫子市で布団を巻いて3歳だった息子を死亡させたとして27歳の母親が逮捕された事件で、母親が逮捕前の調べに子育てに悩みを抱えていたとみられる説明をしていたことが捜査関係者への取材でわかりました。

我孫子市若松の自称・動画編集業、永沼楓月容疑者(27)は去年2月、当時住んでいた市内のアパートの部屋で、息子の清水奏良くん(当時3歳)に布団を巻いて死亡させたとして傷害致死の疑いで逮捕され、29日検察庁に送られました。

警察によりますと調べに対し容疑を認め「しつけのためやった」と供述しているということですが、その後の捜査関係者への取材で逮捕される前の調べに対し「夜泣きがひどく耳をふさぎたくなるほどだった」とか「だだをこねられたこともあった」などと説明していたことが新たにわかりました。

「以前にも布団で巻いたことがある」とも説明しているということで、警察は子育てへの悩みから同じような行為を繰り返していた可能性があるとみて調べています。

現場近くの住民 事件の数か月前 異変に気づき市に連絡
この事件で現場となったアパート近くに住む人が事件の数か月前に異変に気づき我孫子市に連絡していたことがわかりました。

現場となったアパート近くに住む70代の女性によりますと、おととし夏ごろから長時間、子どもの泣き声が聞こえることが頻繁にあったということで、女性は「週に2、3回、2時間ぐらいずっと泣き止まないことがあり気になって10月ごろに一度訪ねて行ってインターホンを押した」と振り返っています。

その際は亡くなった清水奏良くんの父親とみられる男性が「大丈夫です」と応対したということですが、女性は心配だったため市役所に連絡しました。

また、亡くなる2週間ほど前にも近所の他の人と一緒に子どもが泣いている時に、アパートの部屋を訪れてインターホンを押したものの応答はなかったということで女性は「もっと何かをしていれば助かったんじゃないかと思うと後悔が残ります」と話しています。

我孫子市 2か月半前から家庭訪問などの対応にあたるも
今回の事件については、千葉県我孫子市は29日夕方、付近の住民から連絡を受けて、家庭を訪問するなどして対応にあたっていたことを、文書で公表しました。

市によりますと、事件の2か月半前となるおととしの11月18日、近くの住民から「2歳くらいの男の子が2時間くらい泣いている声が聞こえる。何かしてくれるか」という連絡を受けて、その日のうちにアパートの部屋を訪問したということです。

しかし、応答がなかったため、再度訪問することや、何かあれば相談できることなどを伝える連絡票を残したところ、11月19日、母親の永沼楓月容疑者から「困っていることはあるが、相談しても解決につながらない」と連絡があったとしています。

このあと市の職員が再度訪問し、「子どもの安否を確認する必要がある」と母親に伝え、奏良くんの状況を目視で確認しました。

このとき奏良くんは、大き目の服を着ていて、見える範囲で傷やあざはなく、母親に対しても恐怖を感じているような様子も見られず、職員と目が合ってほほ笑むと笑い返し、手を振れば振り返してくれる反応を見せてくれたということです。

そして、集中的な支援の実施が必要と判断し、電話などでの対応を続け、つながらなければ3か月後を目安に再度訪問を検討する方針を決めたとしています。

こうした対応とした理由として、市は母親の警戒心が強かったことを挙げています。

この日以降、市で電話で連絡を続けたもののつながらず、去年2月初めの会議で「2月中に訪問する」との方針を立てましたが、2月4日に事件が起きました。

我孫子市は「泣き声についての連絡の翌日、訪問面接して、親子の様子から、継続して関わっていくべき世帯とは考えていた。事件が起きてしまったことは誠に遺憾であり、未然に防ぐことができなかったのか、関係各所に指導を受けながら再発防止に努める」としています。

我孫子市の星野順一郎市長は「大変痛ましい事件が発生し、このような事態に至ったことは誠に遺憾です。今回の事件を重く受け止め、市としての対応を専門家の意見を聞きながら改めて検証し、各関係機関と連携し、再びこのようなことが起こらないよう、市を挙げて全力で取り組んでいきます」というコメントを発表しました。

柏児童相談所 通報などは受けておらず
この事件について、我孫子市を担当する県の柏児童相談所は、この親子に関する通報などは受けておらず、これまでに対応したことはないとしています。