年金14万円の高齢者「死ぬまで搾り取る気か!」…老人ホームの請求額に激昂
8/27(土) 11:01配信
幻冬舎ゴールドオンライン
生活に制限が多くなってくる老後。少しでも快適に過ごすため、家族に迷惑をかけたくないから、体が思うように動かなくなってきた……さまざまな理由から「老人ホーム」を検討する人は少なくありません。最近は、さまざまな特徴をもった施設が誕生しているため、比較・検討して選ぶことが重要です。しかし、それでも入居後のトラブルは後を絶たないようで……みていきましょう。
毎月の利用料を払えずに…老人ホームを退所する高齢者たち
厚生労働省『令和3年簡易生命表』によると、2021年の日本人の平均寿命は女性が87.57歳、男性が81.47歳でした。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、2011年の東日本大震災の時以来、平均寿命は短くなったものの、日本が世界有数の長寿国であることには変わりありません。
また、「0歳における平均余命」のことである平均寿命に対し、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを指す、健康寿命という考え方があります。健康寿命は、日本では3年ごとに発表されていて、最新は2019年の値。女性は75.38歳、男性は72.68歳です。
平均寿命と健康寿命の差は、単純計算ですが、男性は8.79年、女性にいたっては12.19年。この間、何かしら健康の支障を抱えながら生活をしていくことになります。
【日本の「平均寿命と健康寿命」の推移】
2001年:「男性」78.07歳/69.40歳、「女性」84.93歳/72.65歳
2004年:「男性」78.64歳/69.47歳、「女性」85.59歳/72.69歳
2007年:「男性」79.19歳/70.33歳、「女性」85.99歳/72.36歳
2010年:「男性」79.55歳/70.42歳、「女性」86.30歳/73.62歳
2013年:「男性」80.21歳/71.19歳、「女性」86.61歳/74.21歳
2016年:「男性」80.98歳/72.14歳、「女性」87.41歳/74.79歳
2019年:「男性」81.41歳/72.68歳、「女性」87.45歳/75.38歳
出所:厚生労働省
※数値左:平均寿命、右:健康寿命
どれほどの制限となるかは、人それぞれであり、まわりに頼れる人がいるかどうかなども関係してくるでしょう。ただ日常生活が困難になってくると、介護、さらには老人ホームへの入居が選択肢になります。
最近は健康なうちから入居するタイプの施設も増えたことで、自ら時間をかけて老人ホームを探す人も多いようです。もちろん、なにかしらの理由で体の動きに制限がある場合、家族が代わりに探すこととなります。また、「老後のことなんて、ずっと先のこと」と思っていたら、親の入居のことを考えなければならず、あたふた……そのようなことも多いようなので、たとえ「自分はまだ若い」と思っていても、他人事ではありません。
自分が探すにしろ、家族が探すにしろ、最も気にかかることのひとつが費用。どんなに入居者本人に適した施設であっても、予算オーバーであれば意味がありません。
苦労して入居先を見つけても…後を絶たないお金のトラブル
国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年分)によると、日本の給与所得者数は5,245万人、平均給与は433万円、月換算で36万円程度となります。人にもよりますが、手取りではおよそ27万円となります。年金は「手取り収入のおよそ5割」であるため、13~14万円が給付水準と考えられるでしょう。
厚生労働省年金局発表の『令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から年金受給額の状況を見ていくと、公的年金被保険者数は、令和2年度末現在で6,756万人。前年度末と比べ6万人減少しているようです。
厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金が14万6,145円、国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、5万6,358円となっている。費用のミスマッチを減らし、年金だけで老人ホームへの入居を考えるなら、このあたりが費用の目安となるでしょうか。
では、老人ホームへの入居を検討するにあたり見るべき費用はというと、「一時入居金」と「月額費用」でしょう。まず一時入居金は、終身利用する権利を取得する目的に対し支払うもの。償却期間内に退去した場合は返還金を受け取ることができます。金額は施設によってまちまちで、数十万円、数百万円というところから、0円、という施設まであります。
次に月額費用には、「家賃」「管理費」「食費」「介護保険サービスの自己負担分」など「個人で支払う費用」が含まれます。こちらもピンキリですが、10万~30万円程度の施設が多いようです。
「年金だけで施設に入居」という場合、元・会社員で厚生年金を受け取っている人であれば、多くの選択肢があります。しかし、国民年金だけという場合は、施設は限られるのが現状です。ただ生活保護を受けながらでも入居できる施設もあるので、可能性がないわけではありません。
そのようななか、仮に「予算内で納得のいく施設に入居できた」と思っても、老人ホームのお金にかかわるトラブルは後を絶たないといいます。なかでも利用料金のトラブルでありがちなのは、施設のパンフレットに書いてある月額費用と実際の請求額に差異があるケース。
パンフレットと金額が違うじゃないか!子どもに遺すつもりの貯蓄を切り崩すハメに
ーーパンフレットには月額12万円と書いてあったのに、20万円も請求なんて、どういうことだ!
時間をかけて吟味をして、ようやく予算に見合った入居先を見つけたと思ったら、パンフレットに書いてあった倍近くの費用を請求された、というケースも珍しくないようです。ただしこのケースでは、「月額費用に含まれる内容を正しく理解していない」という、利用者側の落ち度もあるそうです。
どのようなサービスが含まれているかは、当然ですが施設によってまちまち。パンフレットに記載されていた12万円はあくまでも家賃・管理費であって、食事は別契約、介護保険1割負担分は含まれてない、レクリエーション代は都度請求……。入居前にしっかりと確認しておけば避けられるトラブルが多いのです。
もっとも、なかには故意に詳細は伏せるような施設も散見されるよう。以前はこの手のトラブルが多く、景品表示法違反で排除命令がなされ、指導の徹底が呼びかけられたことがありました。現在、一般消費者が有料老人ホームを選択する時点において重要な判断要素となると考えられる、以下1~7の事項について、明瞭に記載されてなかったり、表示の内容が明らかにされていないものについては、不当表示と規定されています。
1.土地又は建物についての表示
2.施設又は設備についての表示
3.居室の利用についての表示
4.医療機関との協力関係についての表示
5.介護サービスについての表示
6.介護職員等の数についての表示
7.管理費等についての表示
つまり、これらの内容を理解せずに入居を決めるということは、自らトラブルを招いているといえます。これらを明快にしておけば、トラブルにあう確率は低くなるでしょう。
8/27(土) 11:01配信
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生活に制限が多くなってくる老後。少しでも快適に過ごすため、家族に迷惑をかけたくないから、体が思うように動かなくなってきた……さまざまな理由から「老人ホーム」を検討する人は少なくありません。最近は、さまざまな特徴をもった施設が誕生しているため、比較・検討して選ぶことが重要です。しかし、それでも入居後のトラブルは後を絶たないようで……みていきましょう。
毎月の利用料を払えずに…老人ホームを退所する高齢者たち
厚生労働省『令和3年簡易生命表』によると、2021年の日本人の平均寿命は女性が87.57歳、男性が81.47歳でした。新型コロナウイルス感染拡大の影響によって、2011年の東日本大震災の時以来、平均寿命は短くなったものの、日本が世界有数の長寿国であることには変わりありません。
また、「0歳における平均余命」のことである平均寿命に対し、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことを指す、健康寿命という考え方があります。健康寿命は、日本では3年ごとに発表されていて、最新は2019年の値。女性は75.38歳、男性は72.68歳です。
平均寿命と健康寿命の差は、単純計算ですが、男性は8.79年、女性にいたっては12.19年。この間、何かしら健康の支障を抱えながら生活をしていくことになります。
【日本の「平均寿命と健康寿命」の推移】
2001年:「男性」78.07歳/69.40歳、「女性」84.93歳/72.65歳
2004年:「男性」78.64歳/69.47歳、「女性」85.59歳/72.69歳
2007年:「男性」79.19歳/70.33歳、「女性」85.99歳/72.36歳
2010年:「男性」79.55歳/70.42歳、「女性」86.30歳/73.62歳
2013年:「男性」80.21歳/71.19歳、「女性」86.61歳/74.21歳
2016年:「男性」80.98歳/72.14歳、「女性」87.41歳/74.79歳
2019年:「男性」81.41歳/72.68歳、「女性」87.45歳/75.38歳
出所:厚生労働省
※数値左:平均寿命、右:健康寿命
どれほどの制限となるかは、人それぞれであり、まわりに頼れる人がいるかどうかなども関係してくるでしょう。ただ日常生活が困難になってくると、介護、さらには老人ホームへの入居が選択肢になります。
最近は健康なうちから入居するタイプの施設も増えたことで、自ら時間をかけて老人ホームを探す人も多いようです。もちろん、なにかしらの理由で体の動きに制限がある場合、家族が代わりに探すこととなります。また、「老後のことなんて、ずっと先のこと」と思っていたら、親の入居のことを考えなければならず、あたふた……そのようなことも多いようなので、たとえ「自分はまだ若い」と思っていても、他人事ではありません。
自分が探すにしろ、家族が探すにしろ、最も気にかかることのひとつが費用。どんなに入居者本人に適した施設であっても、予算オーバーであれば意味がありません。
苦労して入居先を見つけても…後を絶たないお金のトラブル
国税庁『民間給与実態統計調査』(令和2年分)によると、日本の給与所得者数は5,245万人、平均給与は433万円、月換算で36万円程度となります。人にもよりますが、手取りではおよそ27万円となります。年金は「手取り収入のおよそ5割」であるため、13~14万円が給付水準と考えられるでしょう。
厚生労働省年金局発表の『令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』から年金受給額の状況を見ていくと、公的年金被保険者数は、令和2年度末現在で6,756万人。前年度末と比べ6万人減少しているようです。
厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、老齢年金が14万6,145円、国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額は、5万6,358円となっている。費用のミスマッチを減らし、年金だけで老人ホームへの入居を考えるなら、このあたりが費用の目安となるでしょうか。
では、老人ホームへの入居を検討するにあたり見るべき費用はというと、「一時入居金」と「月額費用」でしょう。まず一時入居金は、終身利用する権利を取得する目的に対し支払うもの。償却期間内に退去した場合は返還金を受け取ることができます。金額は施設によってまちまちで、数十万円、数百万円というところから、0円、という施設まであります。
次に月額費用には、「家賃」「管理費」「食費」「介護保険サービスの自己負担分」など「個人で支払う費用」が含まれます。こちらもピンキリですが、10万~30万円程度の施設が多いようです。
「年金だけで施設に入居」という場合、元・会社員で厚生年金を受け取っている人であれば、多くの選択肢があります。しかし、国民年金だけという場合は、施設は限られるのが現状です。ただ生活保護を受けながらでも入居できる施設もあるので、可能性がないわけではありません。
そのようななか、仮に「予算内で納得のいく施設に入居できた」と思っても、老人ホームのお金にかかわるトラブルは後を絶たないといいます。なかでも利用料金のトラブルでありがちなのは、施設のパンフレットに書いてある月額費用と実際の請求額に差異があるケース。
パンフレットと金額が違うじゃないか!子どもに遺すつもりの貯蓄を切り崩すハメに
ーーパンフレットには月額12万円と書いてあったのに、20万円も請求なんて、どういうことだ!
時間をかけて吟味をして、ようやく予算に見合った入居先を見つけたと思ったら、パンフレットに書いてあった倍近くの費用を請求された、というケースも珍しくないようです。ただしこのケースでは、「月額費用に含まれる内容を正しく理解していない」という、利用者側の落ち度もあるそうです。
どのようなサービスが含まれているかは、当然ですが施設によってまちまち。パンフレットに記載されていた12万円はあくまでも家賃・管理費であって、食事は別契約、介護保険1割負担分は含まれてない、レクリエーション代は都度請求……。入居前にしっかりと確認しておけば避けられるトラブルが多いのです。
もっとも、なかには故意に詳細は伏せるような施設も散見されるよう。以前はこの手のトラブルが多く、景品表示法違反で排除命令がなされ、指導の徹底が呼びかけられたことがありました。現在、一般消費者が有料老人ホームを選択する時点において重要な判断要素となると考えられる、以下1~7の事項について、明瞭に記載されてなかったり、表示の内容が明らかにされていないものについては、不当表示と規定されています。
1.土地又は建物についての表示
2.施設又は設備についての表示
3.居室の利用についての表示
4.医療機関との協力関係についての表示
5.介護サービスについての表示
6.介護職員等の数についての表示
7.管理費等についての表示
つまり、これらの内容を理解せずに入居を決めるということは、自らトラブルを招いているといえます。これらを明快にしておけば、トラブルにあう確率は低くなるでしょう。