~第十二章 吾 は 信 ず(クレド)~
終点(ゴール)は神である。まずわれ自らが神なることを想い、神と偕に今日の一日を始めるがよい。終点は既に確定している、古往今来常にそれは確定していたのである。あなたは神性である。神の姿、神のキリスト、神なる男子、神なる女子であるのである。
しかし、あなたにその通りに考えよと強制する者は一人もいないのである。それはあなたの神我への自由意思による供物でなければならない。
神なるわれは宇宙生命・宇宙力と合一しているのである。この力はすべてわが天性に集中し、かくてわれ神の完全なるエネルギーによって積極的となり、このエネルギーをすべての形あるものに放射し与えてこれら形あるものを又積極的ならしめ、遂にありとしあらゆるものが変貌し、調和して完全となることを期する。
わが心は無限の英智を以て満たされている。わが全身にある才能は悉くわが心を通して自由に表現される。人類すべて又、然りである。
わが情(こころ)は平安と愛と征服者キリストの歓びとで溢るるまでに満たされている。われはすべての人々の面(おもて)にかの征服者キリストを見る。わが情(こころ)は神の愛によって強く、全人類の情(こころ)を満たしているのを自覚する。神の生命はわが全血流を隈なく豊かならしめ、わが体をその清純さを以て満たす。
神はすべての生命である。われは呼吸と共に生命を吸入し、わが肺は呼吸と共に生命を摂取し、かくてわが血流は生命の活力を以て満たされる。
神なるわが胃は智慧あり全能なる生命の消化エネルギーである。わが体の器官はすべて健康と調和とを注ぎ込まれ、わが組織はすべて完全なる調和の裡に機能する。
われはわが器官すべてが神の智慧を以て注ぎ込まれているのを自覚する。全器官がそれぞれの為すべき業(わざ)を知り、共働してわが全心身の健康と調和とを図る。
神なるわれは全宇宙を満たすエネルギーである。われはこのエネルギーを遍満する神の生命より常に吸収する。
神は強大なるその生命をわれにさきはえる全智全愛の英智であることを知る。われは又、神即ちわが完全なる肉の身に内在する臨在(プレゼンス)の全支配力を実現する。
完全なる癒しをなす生命の故にわれは神を讃美する。ありとしあらゆるものが生命である、その故にわれは、あらゆる生命をして自己顕現せしめるのである。
征服者キリストは言う、『わたしの言葉は霊であり、生命である』と。又言う、『もしわたしの言葉を守るならば決して死を見ないであろう』と。
英智のキリスト、勝利のキリストは全宇宙に豊かなる愛を放射する。
一切は至高心である。われは至高心である。
われは至高の英智・愛・力である。われ自らがこの荘厳不尽(しょうごんふじん)の英智であることを、われは情(こころ)の底より歓びとともに雄叫(おたけ)びして感謝する。それと共にこの英智をわれ自身に引き寄せて、この絶ゆることなき英智を完全に実感することを求める。
想念と、口より発せられた言葉とは物であることを銘記せよ。
あなたはすでに解脱している、一切の限定状態より完全に解脱している。この歓びの福音を叫びに叫べ。しかして、あなたがすでに解脱しており、自由に、歩武堂々と、濶歩する者であることを自覚せよ。
われは今、生まれ変わって神の至高心となり、その完全なる力となったのである。われは神である。
わたしたちは、歓ばしき愛の光りをすべての魂に頒(わか)ち与えるために存在しているのです。このことを完全に自覚し、この自覚を以てすべての人々に伍して行きましょう。これは実に大いなる特権であります。
何故ならば、この涯なき神の愛をすべての魂に放射する時、当人の魂は身震いするまでに聖霊を以て満たされるからであり、又、全人類に対する神の愛を実感するからであります。
このことを実感し体認することは、同時に全人類に征服者キリストの内在することを実感し、体認することであります。これによってわたしたちは、イエスが与えられたると同じ神癒力と英智とを与えられるに至るのであります。
追 記
第一次世界大戦中、スポールディング氏はイタリーに派遣されて、若い飛行士たちの訓練に当ることになった。この飛行士のグループに、故国アメリカの両親から許しを得てこの訓練に参加した或る十四歳の少年が混じっていた。彼とスポールディング氏との間には温かい友情が通った。
併し第二次世界大戦には、この飛行士はアメリカ側の戦死者の数の中に入ってしまった。彼の飛行機の座席に、ベアード・T・スポールディング氏に献じられた次の詩が残っていたのである。スポールディング氏は晩年の二ヵ年、講演の間によくこの詩を誦したものである。この詩を本書に編入するのは、氏もまた望むところであろうと思われる。
おお、われ炎熱の地帯を滑り
空々に舞いて銀の翼にて哄笑(わら)いぬ。
陽光に裂くる雲らの
転(まろ)び行く歓喜(よろこび)をわれも悦びつつ
太陽(ひ)に向いてわれは登りぬ。
昇りてわれは
卿(おんみ)に未聞(みもん)の事どもを為しぬ
旋廻、高翔、揺動を為し、高く、
寂寞(じゃくまく)の中、そが中を舞いつつ。
われは叫ぶ風を追い
気圏の広間を過(よ)ぎり
目眩(めくる)めく紺青(こんじょう)に
上へ上へと投げつけぬ
はやりにはやるわが無足の飛機を。
われは雲雀も鷲すらも得飛ばぬ
風に曝されし天頂に
いとも容易く雅(みやび)やかにも達したり。
声を呑み、心弾みて
高遠未到、宇宙の聖所に、今し足を踏み
手を挙げて、われは触れたり、神の面(おもて)に。
――完――