お待たせしました、続きです。


 前回は、東大か京大かで迷っていた、という話をしましたが、それは高2の夏休み明けぐらいからの話であって、高2に上がる段階の文理選択をすませ、理科、社会が混じりだした進研模試を受けていた頃の僕は、学年で20位~30位程度の実力しかありませんでした。開成や灘なら、この順位なら東大余裕なのでしょうが、ウチの学校は所詮公立なので、この位なら落ちるのを覚悟で京都を受けるか、阪大で勝負か、と言ったぐらいのレベルです。


 とはいっても、僕はわりと根拠なく自信を持ち、なおかつ、高2段階では現実的進路を見据えるということはまだしていなかったので、東大か、京大かを漠然と目指していました。堀江社長の出身校である東大にはかなり興味を惹かれましたが、ライブドア・ショックで逮捕されてしまったこともあり、東大と京大に明確な差がないなら友人が多く、人脈を築きやすい京大にするのもアリかな、とかなり真剣に思っていました。実際、その頃は京大にかなりなびいていたのです。


 東大を見据えなおす、1つの機会は、社会科の先生の言葉でした。その社会の先生はかなり年配の方でしたが、文系の京大出身者で、東大と京大の差などという事情にはそこそこ詳しかったようです。その先生の言うことには、


「官僚になるなら絶対東大です。国Ⅰ(国家公務員上級。いわゆるキャリアへの試験)受けて官僚になる人間は、圧倒的に文Ⅰから法学の人間が多いから、京大なんかから行くとハブられますよ?」


「池田勇人は、戦争で東大卒の人間が大勢死んだから、京大から首相になれたが、京大卒ということで色々と不自由な思いをしたみたいです。」


「マスコミなんかは絶対に東京ですから、マスコミ関係を目指すなら上京するべきですね。」


などなど。どこまで本当かはまだ僕にもわからない情報が多く、国土交通省を自治省と言うなど、微妙に時代感覚がズレている先生でもありましたが、当時の僕は漠然と、京都に行くよりも東京に行ったほうが有利なことが多いのではないだろうか?と疑問に思い始めました。


 そして、次は塾でした。僕は自習室がないと勉強できないこともあり、とある県を中心に8教室ほど経営している中規模な塾に通っていたのですが、僕の通っていた教室には、東大卒の先生が2人来ており、色々と話を聞いてみると、


「ノーベル賞の研究なんかでは京大が強い。研究では京大のほうがいい面もあるだろう。だけど、文系なら東大に行ったほうが絶対いい」


とのことだったので、じゃあ東大にするか、とぼんやりと東大に傾きだしたのでした。


 おりしも、その頃から成績が上向きになりだして、1位も楽々取れるようになってきたので、東大に行こうというぼんやりとした方向性は、確たる目標へと変わりました。3年になってからは、A判定、B判定をガンガン取ることができ、自信もつけて、目標は揺るがなくなりました。そうして、そのまま受験に至り、合格し、今駒場キャンパスに通っているわけです。


 僕の場合は、このように、比較的はっきりとしたルートがあって、大学・学部・学科を絞り込んでいきましたが、なんとなくで決めた人もかなり多いです。しかし、後で後悔しないためにも、ある程度明確な動機付けがあったほうがいいことも確かです。皆さんも、自分が今何をやりたいか、どの大学でどんなことをやりたいかを、今一度しっかりと考えてみてください。


 それでは。