なんでもおいしいって言うから
なんでも好きなのかと思ってた。

一昨日のヨルゴハンのメニュー、
ホンマは嫌いやってんやろ?

今日聞いたよ
元カノさんから。

おいしいおいしいって食べてたのに
「嫌いやってんやろ?」
…って聞いたら重いやろ?

はよ嫌いなもの 全部覚えたいな…




「なぁ、嫌いな食べ物ってなに?」

帰ってきた彼に思いきって聞いてみる。
ちょっとびっくり顔…から だんだん困った顔…。

もしかして
嫌いなものばっかり作ってたんかな。
毎日無理して食べてくれてたんかな…。

言うてくれたら良かったのに…

だんだん、見上げてた彼の顔が見れなくなってきて
今はフローリングの上の 自分の裸足の爪先が見えてる。

「…なんやろ」

気 つかわんで。これからに活かしたいん。

「…何が嫌いか忘れてもーたわ」
「え?…」

一昨日のヨルゴハン、嫌いやったんやないの?
他にも好き嫌い、ホンマは凄く多いんやろ?

「作ってくれるんが みんなうまいから、何が嫌いやったか…忘れてもーた」

もっかい見上げた彼の顔は
アホの子みたいにぽかんとしていて…

嘘。

嘘やん。

ホンマは忘れてないのに 忘れたふりしてる彼。

ホンマに…
ホンマにもう…。


「…思い出したら 教えてよ?」

うん。思い出したらな。

って優しい顔で頷く彼に
ほわっとため息一つ。

甘やかされたら、離れられへんくなるのに。

でも今はただ単純に
ほわっとあったかいため息一つ。