ヒルズ美容ステーション -108ページ目

皮膚の構造と機能(番外編:メラニン色素)

以前に、


ヒトの皮膚色を決定する代表的な因子は


メラニン色素


カロチン


ヘモグロビン


である・・・といったお話をしたことがあったと思います。


今回は、その補足とおまけのようなものになります。



上記の因子(メラニン色素・カロチン・ヘモグロビン)のなかでも


メラニンによる影響は大きく、


人種差による皮膚色の違いは、


メラニンを産生する細胞の数が多いのではなく、


メラニンの種類と産生された量の差によるものなのですよ。



メラニンが原因で色素異常をきたす疾患の多くは・・・


先天的


自己免疫反応


日光誘発 ビックリ


・・・などが原因となると考えられています。


そして、


メラニン色素の産生不全ないし亢進、


メラノサイトの減少ないし増加が起こることで色素異常が起きるわけです。


具体例を挙げると・・・



《 色素の増加を主体とするもの 》


・雀卵斑 (俗にいう そばかす)


・肝斑 (かんぱん)


・リール黒皮(こくひ)症 (女子顔面黒皮症)


・摩擦黒皮症 (タオルメラノーシス)


・遺伝性対側性色素異常症


・老人性色素斑


・アジソン病


・光線性花弁状(かべん)色素斑


・色素異常性固定紅斑



《 色素の脱失(だっしゅつ;色がぬけること)を主体とするもの 》


・眼皮膚白皮症 (先天性白皮症)


・尋常性(じんじょうせい)白斑 


・ぶち(まだら)症 (限局性白皮症)


・サットン母斑 (遠心性後天性白斑)


・フォークト・小柳・原田病


・老人性白斑


・脱色素性母斑


・偽梅毒性白斑



《 異物の沈着によるもの 》


・柑皮(かんぴ)症


・銀皮症


・刺青



いっ、いっぱいありますね!


でも・・・


大変!!!


・・・なんて言ってられません。


我々看護師もこれらをしっかり把握しておく必要があるのです。



とにかく!!!

 

身近な自己予防として・・・紫外線対策! 


日焼け止め! 


日焼け止め!!

・・・がとっても大事なのです。


                                 双葉 Ns 2号 双葉


次回は・・・“瞳の色”のお話です!!!


お楽しみに!









ほうれい線の治療

今回はほうれい線のお話です。

 

ほうれい線は一般の医学用語で言うと、

 

 

鼻唇溝(びしんこう)と呼びます。

 

 

ヒルズ美容ステーション

 

 

白い矢印が示しているところです。

 

 

小鼻と唇とを結ぶ線とでもいいましょうか!?

 

 

笑うと深くなり、

 

 

また年齢を重ねると、

 

 

頬のたるみなどが加わって、

 

 

その溝は深くなっていきます。

 



では・・・

 

このほうれい線ですが、いったいどうすれば改善されるのでしょうか?

 

 

一番効果的で、持続する方法は

 


ヒルズ美容ステーション

青い矢印の方向に引き上げると改善します。

 

鏡に向かって、

 

 

頬に手をあて引き上げてみたことはありませんか?

 

 

そうです!

 

 

溝は浅くなりますね!

 

 

美容外科ではフェイスリフトという手術によって、

 

 

頬のたるみを改善させ、結果的に溝を浅くするのです。

 

 

 

しかし、、、

 

 

 

手術に抵抗がある方もいらっしゃいます。

 

 

そのような場合は、

 

 

ヒアルロン酸という注入物を使い、

 

 

溝を埋めるような処置をします。

 


  ヒルズ美容ステーション

ヒアルロン酸ですが透明のジェル状のものです。

 

注入は細い針を使って、ゆっくり行います。

 

 

皮膚の浅いところに入れてしまうと、ボコボコしますし、

 

 

深すぎてもいけません。

 

 

また、

 

 

ヒアルロン酸は平均半年で吸収されます。

 

 

つまり半年間老化を遅らせるわけですね。

 

 

 

ヒアルロン酸をお受けになる患者様の多くは、

 

 

 

「手術はちょっと・・・」

 

 

「同窓会があるので・・・」

 

「気軽に・・・」

 

・・・という方々ですね。

 

 

ではヒアルロン酸を注入した症例をみてみましょう。

 

 

まずは通常の状態ですが、

 

 

ほうれい線が目立ちますね。

 


ヒルズ美容ステーション   ヒルズ美容ステーション

 

笑顔の時はどうでしょうか?

 


ヒルズ美容ステーション   ヒルズ美容ステーション

ずいぶん浅くなっています。

 

 

ヒアルロン酸はコラーゲンと違い、

 

 

 

アレルギーを起こす可能性が低いといわれています。

 

 

気軽に行えるうえ、

 

 

注入した直後から目に見えた効果がわかりますので、

とても人気の高い施術です。

 

 

 

                    丸山成一

 

※before &afterの画像についてのご注意
写真はあくまで参考画像であり、症例により効果や満足度は異なりますのでご了承下さい。

 

※リスク・副作用・合併症

内出血、腫脹、凹凸、アレルギー、塞栓による皮膚壊死・失明・脳梗塞、自分が想像していた結果と異なるなどが考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕のタトゥー治療②

今回は前回の続き・・・

 

腕のタトゥー治療の第2回目です。

 


ヒルズ美容ステーション

前回までのお話は、上の写真のような左腕外側のタトゥーを取る場合、

 

デザインをよく考えて行うことと、

 

 

様々な方向に腕をつまんでみて、

 

 

一番緊張がかからないように縫う必要があると説明しました。

 

 

 

まずデザインですが、

 

 

 

縫い上がった傷が極力短くなるように、

 


ヒルズ美容ステーション

 

タトゥーに沿った最小限度のデザインを行います。

 

 

これをそのまま縫うと、どうなるのか???

 

 

・・・を前回でお話ししましたね。。。

 

 

 

では・・・

 

 


ヒルズ美容ステーション

 

青い方向に縫うのがいいのか?

 

 

それとも、赤い方向に縫うのがいいのか?

 

 

どちらがいいのでしょうか?

 

 

ポイントは無理しないこと!

 

 

つまり腕の皮膚をつまんでみて、一番皮膚の緊張が少ない方向に縫うべきです。

 


ヒルズ美容ステーション

腕を曲げてもらったり、ねじってもらいながら、

 

患者様が一番楽な状態・・・

 

 

つまり緊張がほとんどかかっていない・・・

 

 

縫い上がりが赤い点線になるような方向で縫合することにしました。

 

 

 

さて、ここまで決まれば、

 

 

 

あとはデザインどおりにメスを入れ、

 

 

タトゥーを取り除いた後にできた皮膚の欠損、

 

 

つまり“生じた皮膚の凹凸(おうとつ)”に合わせ、

 

 

凹には凸、

 

 

凸には凹、

 

 

というように縫合していくと・・・

 

 

ヒルズ美容ステーション

 

 

少し傷は長くなりましたが、

 

 

傷の両端に“犬の耳”のような変形はできていませんね。

 


ヒルズ美容ステーション   ヒルズ美容ステーション

 

 

 

 

 

今後、この傷がどのように変化していくのか・・・

 

 

 

 

またの機会にご説明いたします。

 

 

 


                             丸山成一

 

 

 


<<補足>>

 

私が京都の冨士森先生に教わったことを今でも実践していることがあります。

 

 

それは、

 

 

腕や足など、よく動かすようなところを施術する場合、

 

 

冨士森先生はよく、

 

 

「丸ちゃん!傷は直線距離をとろう・・・とするから!

 

 

   拘縮(こうしゅく;ひきつれ)を起こしやすくなるんだよ!

 

      気をつけなさいよ!」

 

・・・っておっしゃっていた。

 

 

つまり、運動刺激が過度に加わるようなところは、

 

 

拘縮(引きつれ)が生じやすいので、

 

 

極力ジグザグに縫い上がるようにしなさい!

 

 

要は、引きつれる力をジグザグに縫うことで分断する狙いがあるのです。

 

 

また、

 

 

「皮膚を無理矢理縫うのは決してよくない!

 

 

   自然に、あるがままに縫うことが大事だ!」

 

・・・ともおっしゃっていた。

 

 

今回のタトゥー治療もその2つの要素を組み込んであります。

 

 

 

冨士森先生、、、

 

 

 

もう80歳近くになりますが、

 

 

まだまだ元気に京都でバリバリ頑張っておられます。

 

 

 

 

 

※before &afterの画像についてのご注意
写真はあくまで参考画像であり、症例により効果や満足度は異なりますのでご了承下さい。

 

※リスク・副作用・合併症

内出血、腫脹、発赤、疼痛、感染、傷のし開(しかい;傷が開く)、糸が出てくる(埋没縫合した糸がでてくることがある)、縫合糸膿瘍、テープ(傷の安静をはかるためのテープ固定)かぶれ、傷が長くなる、ドッグイヤー(傷跡の両端が盛り上がる)、傷の肥厚・陥凹、ケロイド形成、自分が想像していた結果(入れ墨が取れないなど)と異なるなどが考えられます。

 



 

 

 

 

 

 

腕のタトゥー治療①

今回は腕の刺青(タトゥー)治療のお話です。



このブログでも何回かご紹介したタトゥーの治療。


最初は軽い気持ちで、


お洒落の一環としてタトゥーを入れる方が多いようですが、


一度入れると自然には取れません。


就職活動、


公共施設への立ち入り、


結婚など、


生活していくうえで支障を来すことが多いことも事実です。


だから後悔する前にもう一度よく考えて下さいね。



今回の患者様は就職のために左腕に入れたタトゥーを除去してほしいとのことでした。


タトゥーを取る場合、


当院ではQスイッチルビーレーザー手術による治療を選択していただいています。


両者ともメリット、デメリットがありますが、


簡単に言えば、


レーザーは数回かかりますが、傷にはなりません。


一方で手術は小さいものであれば、


一度で取ることができますが、傷ができます。


そのことを事前に患者様にしっかり説明する必要があります。



今回、患者様は手術を選択されました。


もちろん・・・


手術は傷をつけることになるのですが、


その切除の仕方、方向など様々な角度からアプローチして、


傷を出来るだけ目立たなくする方法で行う必要があります。


では・・・症例を供覧しましょう。


ヒルズ美容ステーション


左上腕外側のタトゥーですね。


これをただ単純に縫うと、とても傷が長くなります。



以前にも説明しましたが、


このような腕・・・つまり腕は円柱の形態をしていますね。。。


このような平面ではなく、


立体かつ曲面になっている場合は、


デザインをしっかり考えて行わないといけません。


もちろん形成外科医は出来るだけ縫い上がりの傷が、


下の写真のように最小限度になるようにデザインします。


ヒルズ美容ステーション

しかし、


このようにデザインして、そのまま縫うわけではありません。


では、


そのまま縫うとどうなるか!?


同じ曲面をしたボールを使ってみてみましょう!


ヒルズ美容ステーション

丸く切ったあと、欠損ができましたね。


おそらく今回の症例もタトゥーを取ると


ボールのような欠損になります。


では縫ってみましょう!


ヒルズ美容ステーション



ヒルズ美容ステーション


横から見るとよくわかりますが、


縫った傷の両側が盛り上がり、


犬の耳のような形になっています。これを我々はdogearと呼んでいます。


とても不格好になります。


結果的にこの犬の耳の部分も修正しないといけなくなりますので、


更に傷が長くなるのです。



またこれもとても重要なことですが、


腕を実際につまんでみるとよくわかりますが、


腕の外側は内側に比べ、皮膚の余りも少なく、


縫い寄せる方向によっては、全然皮膚が寄ってこない場合もあるのです。


そう!縫えない!!!・・・というような事態が起こりかねません。


もちろん無理矢理縫ってしまうと、


腕に血圧計を巻いて縛ってしまうような状態になり、


しびれや血流障害などを引き起こしてしまいます。


従って、


切ってしまってからでは遅いですので、


腕をいろんな方向でつまんでみて、


シミュレーションすることが大事ですね。



次回は実際のデザインから縫合までをご説明します。



                       丸山成一



参考までに・・・


『どうして丸い欠損を縫うと、その傷は長くなるの?』 は>>>こちら







光栄なこと

今回は私にとって、


もちろんスタッフにとって、


とても嬉しいことがあったのでご紹介いたします。



先日、


横浜にある某大手美容クリニックの院長先生と


たまたま通勤が一緒になりました。


その院長先生、



「先生!クリニックのブログいつもみてますよ。


  先日も先生のところのブログに掲載されていた症例と似たような症例があり、


    手術の写真やイラストを参考にしたんですよ。」



・・・と。。。


こんなに嬉しいことはありません。


とても光栄なことです。



私は個人ブログとクリニックのブログを2つ運営しています。


ありのままの自分を表現している個人ブログが美心伝心です。


こちらは毎日書き続け、もう3年を越えました。


日常のこと、


家族のこと、


グルメや旅行などを自分が感じたままに日々綴っています。


一方、クリニックのブログであるヒルズ美容ステーションは、


形成外科あるいは美容外科医の立場から、


患者様はもちろんのこと、


誰が見てもわかるように、


自分で描いたイラストなどまじえ、かみくだいて書いているつもりです。


また、


クリニックのスタッフも月に1つは書いてくれています。


医師、看護師、受付スタッフのあらゆる角度から、


このブログは成り立っています。


とてもありがたいことです。



だから、


今回のように、同業の先生に見てもらい、


しかも参考にまでしてもっらたこと・・・


こんな名誉なことはありません。


こういうことがあるので、


続けていけるのだと思います。



これからも日々精進し、


患者様はもちろんのこと、


同じ医師に参考にされるような・・・


そんなブログをスタッフ共々書き続けていこうと思います。



K先生!


先日は大変ありがとうございました。


今後とも宜しくお願い申し上げます。



                        丸山成一