2023年もいよいよ終わり。今年の忠臣蔵事情を振り返る十大ニュースです。例によって、選定とランキングは独断と偏見ですが、カウントダウンしてまいりましょう。


第10位 「家電侍 ストップ!忠臣蔵」放映

 今年最初の話題は、正月特番の家電侍。もともとが時空を無視した冗談みたいな番組ですし、BSだし、どうしようかなと思ったんですが、テレビの話題が少ないので採用しました。あと、大石内蔵助を菊之助丈がやったのもポイント。本当は、本格忠臣蔵で浅野内匠頭をお願いしたい(三船版のお父さんみたいに)。


第9位 真山隼人奮闘中

 演芸関係では真山隼人さんの活躍に注目したい。「大高の笹売」では吉田奈良丸の真似になってしまうことを嫌い、あえて歌舞伎「松浦の太鼓」から新作として口演。さらに12月からは一年にわたる浪曲!「忠臣蔵」シリーズをスタートさせた。浪曲界の未来を担う隼人さんに大いに期待するものです。


第8位 三山ひろしの挑戦!ひとり大忠臣蔵

 続いては歌謡界から、三山ひろしの明治座公演「ひとり大忠臣蔵」。故·三波春夫の長編歌謡浪曲で構成された舞台。三波さんの娘さんの指導を受けて構成した由である。俵星玄蕃などは披露する歌手も少なからずいらっしゃいます。他にも歌い継ぎたい名曲の数々でこうせいされた。忠臣蔵文化を後世に伝えるという意味で、貴重な公演であったと思われるので、ランクイン。


第7位 豊岡で大石吉之進物語上演

 商業的なステージの話題が続いたが、こちらは地域の企画。豊岡では昨年吉之進(祖錬)の墓が改修されているが、その流れで彼を主人公にした朗読劇「冴え月の儚(さえづきのゆめ)」が7月末に上演された。市民の手による、地域の文化を大切にしようというイベント。こういうことって、大事ですよね。

 なお、ゆかりの地での市民演劇というくくりでは、10月に三次市の青河ふるさと祭りで俵星玄蕃が上演されたというのもありました。これも大事な取り組み。


第6位 高取峠の早駕籠像修復

 地域の話題なら忘れてならないのが、大本山·赤穂の早駕籠像修復事業。平成3年に設置された早駕籠モニュメントですが、三十年の時を経て老朽化。行政に修理の予定がないということで、地元の有志が資金集めから技術提供から、何から何までやって完成させ、記念式典が行われたのが6月28日でした。

 資金集めといえば、昨年末から山科の岩屋寺が宝物殿修復のためクラウドファンディングを行っていましたが、これも無事予定金額を集めて工事ができたそうです。クラファン(内蔵助ファン…ではない)の効果は科博で証明されましたが、同時に文化政策の貧困も浮き彫りになりました。


第5位 4年ぶり忠臣蔵サミット開催

 さて、地域の話題をつなぐのが忠臣蔵サミット。コロナ禍で実施できませんでしたが、4年ぶりで、11月11日に11自治体が出席して西尾市で開催されました、地域の活性化に忠臣蔵をどう役立てるのか、仕切り直しですね。


第4位 義士会連合会開催

 4年ぶりはおろか30年ぶりだったのが全国義士会連合会の総会。10月19日に泉岳寺で開催されました。忠臣蔵文化の地盤沈下は深刻ですが、知恵を出し合って振興してもらいたいと思います。


それではベストスリーの発表にまいります。


第3位 各地の義士祭正常化

  コロナ禍明けで、両国(本所)や北海道、福岡などで4年ぶり開催。他のところでもセーブしていたのが正常に戻ったという印象です。年明けには、三原義士祭も復活と聞いています。復興とともにあるのが忠臣蔵文化。日本人を元気づけるのが忠臣蔵であります。


第2位 歌舞伎座で新作「俵星玄蕃」上演

 昨年に引き続き、尾上松緑丈企画の講談ネタ新作歌舞伎です。俵星の歌舞伎化はほぼ1世紀ぶり。より講談に近い形になっているようです。派手にするために立ち廻りを入れたのは、演劇化としてやむを得ないところでしょう。おおむね好評のようで、第三弾を期待する声も多いようです。来年の正月には「荒川十太夫」再演で、新しい古典として定着してほしいと思います。

 歌舞伎では、他にも芝翫丈が十段目に挑戦したとか、いろいろ話題があります。ただ、あの人のあの事件が大きく影を落としていて、あの人のやっていたあれやこれ、ことに結果従兄が代演したあの演目のこととか、本来だったら取り上げたいところですが、忠臣蔵と関係ない事情がマイナス要素。暗い話題は俵返しの秘術で跳ね飛ばして参りましょう。
 ほかに花組芝居の仮名手本とか、つか版の再演とか、舞台演劇の世界では相変わらず忠臣蔵は独参湯だと思われます。

第1位 映画「身代わり忠臣蔵」制作

 さて第1位ですが、映画「身代わり忠臣蔵」の制作発表を推すことにしました。公開まで行ってれば文句なし(なんで2月公開なんだろう?)でしたが、とにかく忠臣蔵映画への期待感だけでも十分な価値。大河の秀吉に見られる「やり過ぎ」が若干の不安材料です(笑)が、面白いドタバタにはなることは確かだと思います。



 来年正月には西尾市の宣伝ドラマ、「江戸から来たキラくん」が放送されるよし。時代は吉良方に有利なのか(笑)?大石を主役にした正統派の忠臣蔵映画がこの十大ニュースを飾る日が来るのでしょうか、来てほしいな、いや、きっと来るとも!